東芝の総合力が導く。人とロボットが協働する物流システムとはAGVを用いた倉庫内の自動化・省力化のイメージ

数々の社会インフラシステムをその技術力とソリューション力で最適化に導いてきた東芝インフラシステムズ。長年にわたり蓄積されてきた知見やノウハウを今、物流領域に向け始めた。目指すのは、少ない投資で倉庫内の生産性向上を実現する“人とロボットが協働する”物流システムだ。

 東芝グループの中で、社会インフラ事業関連の製品やシステムの開発・製造などを手掛けてきた東芝インフラシステムズは、時代の要請に応じて数多くのソリューションを生み出し、社会課題の解決に貢献してきた。

 その中で、セキュリティ・自動化システム事業部は、郵便番号自動読取区分機や鉄道駅の自動改札システムなどの開発で広く知られており、それぞれの分野で高いシェアを維持している。同事業を担当する辻巌取締役常務(東芝常務執行役員を兼務)は「ある媒体から情報を読み取り、それを“To Do”に結び付けるソフトウエア技術に関しては一日の長があります」と、自動認識技術をはじめとする同社の強みを説明する。

「違い」を生み出す東芝のソフトウエア技術

 その技術を生かしていける、次なる分野とは──。

 約5年前、そうした課題意識の先に浮上してきたのが「物流」への挑戦だった。

 折しも、物流分野における労働力不足が大きな社会課題となり、倉庫内の自動化・省力化への要請が高まっていた。自動化のトレンドも、自動倉庫に代表される重厚長大型のハードウエアから、AGV(無人搬送車)による棚搬送システムなど、より安価で手軽に導入でき、柔軟性のあるシステムへと移りつつあった。

「複雑かつ高額な“一点もの”のハードから、シンプルなハードを複数台同時に稼働させるためのソフトウエア技術へと、自動化システムに求められる要件が変化してきました。そこに後発である当社が参入できる余地がありました」(辻常務)と振り返る。