中小企業が頭を悩ます
「ダイバーシティ」をテーマにしたクロストーク

「産業交流展2024」の会場には、出展者のブースの他に、大型のメインステージが設けられ、著名人による「特別講演」や時代のキーパーソンのトークが聞ける「クロストーク」などが行われる。11月21日(木)のクロストークには、経営・人材育成/ダイバーシティ推進コンサルタントの小澤浩子氏とサイボウズ創業者の一人、青野慶久氏が登壇する。

いよいよ開催!首都圏の中小企業の「実力のすごさ」が実感できる国内最大級の展示会ー「産業交流展2024」リアル11.20~22/オンライン11.6~29ー小澤浩子(おざわ・ひろこ) 経営・人材育成/ダイバーシティ推進コンサルタント
早稲田大学法学部卒業後、ソニー(海外事業、ドイツ駐在等)を経て、ソニー・ピクチャーズエンタテインメントの出資会社AXNジャパン副社長、ミステリチャンネル副社長、スター・チャンネル代表取締役副社長等を歴任。現在はダイバーシティ推進コンサルタントとして活躍。中小企業経営者に対するコンサルの機会も多く、経営者と女性の双方の視点から課題を分析、中小企業の現場の状況を最も理解しているコンサルタントとして評価が高い。PR TIMES、サンコール、九州旅客鉄道の社外取締役も務める。

 小澤氏は、中小企業が一堂に会する場があることを「非常に素晴らしい」と高く評価する。「ビジネスはネットワークが重要です。『産業交流展』では、日常のビジネスでは知り合えない企業と交流ができます。それは新たな販路の確保といった実業面での利点はもちろんあるのですが、企業が直面する課題に対する情報収集・交換の場としても活用できると思います」。

 企業が直面する課題の一つが「ダイバーシティ(多様性)」だ。小澤氏は、クロストークのテーマとして取り上げるという。中小企業経営者にとって、喫緊でありながら、理解や対応が難しく手を付けにくい課題といえる。そこで小澤氏は「女性の活躍推進を起点として、ダイバーシティを掘り下げる」と話す。「ですが、誤解を恐れずに言えば、私は女性の活躍を推進したいとは思っていません」。

 それはなぜなのか。小澤氏は「性別・年齢などにかかわらず、やる気と能力があるのに、何らかの障壁があって働けないというのであればサポートしたい」と考えているからだ。その視点で女性を見ると、「ビジネスパーソンとして一番脂が乗ってくる時期に結婚・出産・育児というライフイベントと重なることが多く、仕事との両立に支障が生じる。女性の課題をうまく解決できるようになれば、全ての人にとって働きやすい環境をつくることができるのではないでしょうか。あらゆる人が能力を発揮できる環境をつくるということは、企業にとってもすごくメリットが大きい。その意味で、女性活躍推進をダイバーシティのファーストステップと位置付けています」。それに人口の半数が女性なのだから、女性のためのダイバーシティが動きだせば、ダイバーシティ実現の大きな力になるし、リターンも大きい。「女性活躍推進が実現できなければ、他のダイバーシティ実現も難しいと思います」。

 1985年に男女雇用機会均等法が制定(86年施行)され、40年近くが経過した。その間に育児休業(育休)など多くの制度が整備された。リモートワークという働き方も定着した。「40年かけて働き方をサポートする制度はできたのですが、成果が伴っているかというと必ずしもそうではない」と小澤氏は指摘する。なぜ、成果が伴わないのか。その答えをクロストークの中で青野氏と共に探っていきたいという。

いよいよ開催!首都圏の中小企業の「実力のすごさ」が実感できる国内最大級の展示会ー「産業交流展2024」リアル11.20~22/オンライン11.6~29ー小澤氏×青野氏のクロストークは11月21日(木)15時40分から50分間の予定で行われる。小澤氏は女性活躍推進を起点としたダイバーシティを中小企業の視点でトーク。お相手の青野氏と、どのような意見を交わされるのか楽しみだ

 小澤氏はこう話す。「中小企業経営者の中には、経営に余裕がないから進められないという方がいます。ですが、私は今の時代の女性活躍推進はCSR(企業の社会的責任)ではなくてESG経営(環境・社会・企業統治の重視から企業の発展を目指すこと)だと思っています。85年の男女雇用機会均等法制定の時代、女性活躍推進は男女差別撤廃といった人権的な側面が大きかったと思うのですが、今の時代の女性活躍推進は女性のためのものではなく、むしろ企業のためのもの」。もっと言えば企業にとってのダイバーシティは、収益も含めた企業価値の向上が目的なのだという。

 女性が管理職になるという目標を持って働くことは素晴らしいと小澤氏。「一方で、自分は子育てをしながら短い時間で能力を発揮したいという働き方があってもいい。もちろん、男性がそういう選択をしてもいい。実は、男性が育児にもっと関わりたいという声を上げ始めて、ダイバーシティの道のりはまだ遠いけれど、ジェンダーバイアス(性差に対する偏見)の是正は進み始めているのかもしれません」。

 だからといって社会の流れに身を任せていては、経営が後手に回ってしまう。

「ダイバーシティや女性活躍推進は、企業が義務だと思い、女性が権利だと思っている間は進みません」。経営者と社員双方のマインドセットにより、企業価値の向上につながるダイバーシティが実現する。小澤氏と青野氏がクロストークを通じてどのような結論を導き出すのか。11月21日(木)が楽しみだ。