DXやAIを活用した革新的なM&Aの仲介事業をはじめとする総合コンサルティングサービスを提供しているのがM&A総研ホールディングス(証券コード:9552)だ。創業から3年9カ月で東証グロース市場に上場したが、その後も成長を加速させている。佐上峻作代表取締役社長に、将来に向けたビジョンを聞いた。

日本企業の価値向上を支援すると同時に自らも時価総額数兆円規模を目指す佐上峻作
M&A総研ホールディングス
代表取締役社長
さがみ・しゅんさく■1991年生まれ。神戸大学農学部卒業後、IT企業のマイクロアドで広告配信システムのアルゴリズム開発に従事。2015年女性向けファッション・メークの情報発信を行うAlpaca(現スマートメディア)設立。18年M&A仲介事業を行うM&A総合研究所設立。23年同社を持ち株会社化し、代表取締役社長に就任(現職)。

急成長を続ける起業家が描く
将来のビジョンは

――2023年3月に、M&A(企業の合併・買収)仲介事業を行うM&A総合研究所を持ち株会社化し、M&A総研ホールディングス(HD)としての一歩を踏み出しました。将来に向け、どのようなビジョンを描いていますか。

佐上 当社グループは、M&A戦略による支援と、DX(デジタルトランスフォーメーション)やAI(人工知能)を生かしたコンサルティングを通じて、日本企業の価値を高め、ひいては日本の国力を上げていきたいと考えています。

 バブル期、日本企業は株式時価総額で世界の上位を独占していました。しかし現在、日本企業の姿は少なく、米国企業などの後塵を拝しています。また、「失われた30年」では、イノベーションも停滞していました。

 例えば当社グループの支援により、時価総額10兆円の企業の価値が1%上昇するだけでも1000億円の価値向上につながります。東証プライム上場企業をはじめとする大手企業の成長は日本の国力アップにもつながります。その実現に貢献したいと考えています。

――M&A総研HD自身も、創業以来急成長を続けていますね。

佐上 M&A総合研究所は18年10月に設立し、その後3年9カ月で東証グロース市場に上場、創業から4年11カ月の23年8月に東証プライム市場に市場変更をしました(下図参照)。

日本企業の価値向上を支援すると同時に自らも時価総額数兆円規模を目指す*各年9月期。2022 年9月期までは非連結の数値。HDはホールディングスの略
拡大画像表示

 将来に向けたもう一つのビジョンとして、私たち自身の時価総額も数兆円規模に成長させたいと考えています。

 日本企業のうち、時価総額が1兆円を超えるのは165社です(23年12月時点)。ただし、そのほとんどは歴史の長い老舗企業で、残念ながら新興企業は多くありません。だからこそ、直近に起業した企業でも数兆円規模の時価総額を実現できることを私たち自身で証明したいと思っています。

 また、私たちのような新しい企業が成長することで、産業躍進の起爆剤となり、日本の国力増強に貢献したいと願っています。さまざまな産業で、私たちに続く起業家が増えるとうれしいですね。