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東日本大震災で大きく変わった寄付のカタチ

誰もが社会貢献の主役になれる社会へ
――鵜尾雅隆氏インタビュー

著者・コラム紹介
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震災を経て
見えてきた課題

 震災をきっかけに寄付をとりまく空気感が変化したことで、さまざまな課題も見えてきた。ひとつめは、アクセスしやすい寄付手段の整備だ。寄付手段の選択肢が身近にたくさんあり、しかも簡便であること。先ほど紹介した「チャリティホワイト」のように、携帯電話を使った寄付・モバイル・ギビングは今後も有効な手段となるはず。携帯各社がキャリアを越え、新しいカタチの寄付のプラットフォームを提供していくことを願う。

 二つめの課題は、寄付税制の社会認知を高めること。2011年に寄付税制が大幅に拡充され、世界でもトップクラスと言われるほど優遇措置のある制度になったにもかかわらず、半数近くの人がそのことを認知していないのが現状だ。米国ですでに行われているプランド・ギビング信託などの寄付型金融商品が米国並みのキャピタルゲイン非課税(譲渡益非課税)がつけられるようになって日本でも発売されれば、寄付と税制がうまく回転するメカニズムが生まれる。毎年800億円にもなる休眠預金の社会貢献への活用も含めて、そうした金融機関を通じた新たな仕組みづくりも必要だろう。

 三つめの課題は、NPOのファンドレイジング力の向上だ。ファンドレイジングとは決して、資金を集めることだけではない。その本質とは、問題の現状を伝え、その解決の必要性と自分たちが示す解決策に多くの人から共感を得ることだ。問題は決して自分たちですべて解決できるわけではない。だからこそ、多くの人を巻き込んで問題に向き合う。そのためのストーリーと価値をいかに伝えられるか。こうした力を持つ人材を育成する必要性から、わたしたちは昨年、「認定ファンドレイザー」という資格検定を開始した。

 企業であってもNPOであっても、これからの社会貢献活動に最も重要となってくるのは、「共感×解決策」。しかもその解決策には、「わたしたちの解決策はこれです」と示すだけではなく、「あなたにも参加してもらえる解決策はこれです」と提案することも必要となってくる。なぜなら、実体験型の日本社会だからこそ、「一人ひとりが社会貢献の主役になれる」仕掛けが必要だからだ。そういう意味で今回の震災では、これまでにない多くの人が寄付をし、誰もが問題解決の一役を担えることに気づくことができた。寄付者は、お金を出すだけの脇役ではなく、解決策に参加する主役となれる時代がきたのだ。だからこそこれからの社会貢献活動は、ワクワクした気持ちや、やってよかったという達成感を感じることを大切にしてほしい。

 そのためには、支援先をきちんと選ぶ目も必要となる。そうした実体験のなかから、進化した支援活動や新たな寄付のモデルが日本に生まれてくることを期待している。

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