副業人材「受け入れ」のメリットは方向性の違う二つのパターン
「相互副業」への参加に当たっては、副業人材の受け入れ側のメリットも大きい。
大沼氏は、これまで副業人材を受け入れた経験から、
② 専門領域外のスキル・知見を持つ人材を迎えるケース
の2種類があり、それぞれにメリットがあると語る。
今年1〜3月で実施中の「相互副業」では、大沼氏の所属する人事部門で2人の副業人材を受け入れているが、そのうちの1人はパーソルキャリアの社員であり、これが①のケースに当たる。
大沼氏 人材のプロであるパーソルキャリアさんから社員が来てくれて、アドバイスを頂けたのは、人事部門にとって、とても有意義でした。採用基準や面接のガイドライン、評価シートのブラッシュアップなどをお願いしています。
また、マーケティング領域のキャリアを持つ副業人材もジョイン。
これは②のケース「専門領域外のスキル・知見」に当たる。異なる視点を持つ副業人材の受け入れが、想定以上の価値を生むケースを示唆している。
大沼氏 私たちの部署は「キャリアオーナーシップ」を推進していますが、新しいカルチャーであるため、なかなか社内に浸透しないことに悩んでいました。
そこで、その方には、マーケティング視点からインナーコミュニケーションのバリューアップ提案をしていただいています。
「社内へいかに浸透させるか」という私たちの取り組みに対して、別角度からの提案を頂くことで、新たな知見を得ることができたと思います。

企業と個人の成長を加速させ、日本全体が元気になる
「相互副業」の成功のこつは「受け入れ側がしっかりとしたプロジェクト設計をし、かつ柔軟に協働できる体制を整えることが大切」と片山氏。
片山氏 自社の課題が明確になっていないままの受け入れや、全部お任せといったスタンスではあまりうまく進みません。
課題を洗い出し、何が不足しているか、どのようなスキルが必要なのかを考えることで、受け入れ時のマッチング精度が上がると思います。
大沼氏 短期のプロジェクトが動きだすタイミングで、社外のエッセンスとして参加してもらうのも良さそうですね。
片山氏 実は、実験的に「相互副業」に参加されている企業もあります。
やはり、今後の労働人口減少を視野に入れると、新しい人材獲得の手段である「副業」について、その影響や価値を見定めたいという思いがあるそうです。
そういった企業さまは導入部署を限定するなど、ミニマムな形でスタートしています。
大沼氏 当社は「キャリアオーナーシップ」を推進しているために比較的スムーズに参画することができましたが、最終的に社内のステークホルダーの理解を得るためには、やはり「企業と個人を成長させたい」という推進部署の強い思いが重要になるかと思います。
「送り出し」と「受け入れ」の双方で、効果が生み出されるサステナブルな仕組みだと思うので、グループ内で展開できたらいいなと感じています。
片山氏 HiProは個人が持つさまざまな経験、スキルを1社の中で閉じず、他の企業でも生かすことで、企業と個人が相乗的に成長する「スキル循環社会」を目指しています。
「相互副業」に多くの企業に参画していただき、スキル循環を生むことで、日本企業全体の競争力向上につなげていきたいと考えています。