幅広い業種を支えるブロックチェーン技術

特徴1)二つのカテゴリーに投資
 二つのカテゴリーとは、ビットコインに代表される暗号資産関連企業と、デジタル革命を起こす技術Web3をリードする企業だ。

 特徴1は「世カエル」の投資対象を見ると分かる。「世カエル」はブロックチェーン・ビジネスを8産業に分類し、分散したポートフォリオを構築している。8産業とはブロックチェーン金融サービス、マイニング・オペレーション、マイニング・ハードウエア、トークン・インベストメント、ブロックチェーン決済システム、ブロックチェーン技術ソリューション、エネルギー、 マイニング・テクノロジーだ(表1)。 

未来の成長市場をつかむ。ブロックチェーン技術を応援する新しい投資へのアプローチ上記はイメージ図であり、実際とは異なる場合もあります。 出所:コインシェアーズ社、インベスコ 上記の産業分類については2024年12月末時点のものであり、予告なく変更されることがあります。
拡大画像表示

 これらの8産業に属する世界各国(日本を含む)・地域の上場株式の中から、ブロックチェーンを活用して新たなサービス・仕組みをつくり出したり、つくり出すと期待されたりしている企業に投資する。

 「組み入れ銘柄(24年12月30日現在)を国・地域別で見ると米国、日本、台湾という順です」と小島氏。

 また銘柄別では上位に、米国のソフトウエアサービスのマイクロストラテジー、金融サービスのマネックスグループ、暗号資産取引のプラットフォームを運営する米コインベース・グローバル、SBIホールディングス、メタプラネットといった企業が並んでいる。

 組み入れ銘柄群は、どの銘柄もブロックチェーンを活用している企業だが、業種に偏りが少ない。他の半導体産業に投資する投資信託の場合、基準価額は半導体市場の動向やマーケットをけん引する大手半導体企業の株価に影響を受けやすくなりがちだが、「ブロックチェーンはさまざまな分野で活用されている技術のため、偏りが少ない」のだと小島氏は説明する。

 ブロックチェーンと聞くと、あまり生活になじみがないと考えがちだが、もう既に金融機関のサービスや食品のトレーサビリティーなど身近なところでも活用されている。また「NFT(非代替性トークン)」という言葉を聞いたことがあるだろうか。これはデジタルアートやゲームアイテムの所有権や真贋を証明する技術だが、ここにもブロックチェーンが使われている。

 NFTについて小島氏は、こんな例を挙げる。

「米国のNBAやNFLのトレーディングカードはブロックチェーン上で発行されており、注目されています。これまでのトレーディングカードは静止画がプリントされたカード実物が発行されていましたが、ハイライトシーンの動画をNFTとして所有することができることになりました。デジタルデータのため紛失や汚損することが無いこと、ブロックチェーン技術によりコピーや偽造が困難なため、希少価値の高い人気選手のカードの価値が担保されるほか、歴代の所有者や取引履歴がカードに記録されており、安全性・信頼性を持って取引されるのです」

 さらに日本政府も25年にも商法を改正し、国際貿易に必要な書類である「船荷証券」をブロックチェーンにより電子化することを目指している。このことは、いまだ各所に残る“紙の書類の作成と受け渡し業務”の世界にブロックチェーンが浸透していくことを示す事例だろう。