米韓両国は7月下旬、韓国が米国に3500億ドル(約53兆3500億円)を投資する見返りに、米国が韓国の自動車やその他多くの商品に対する関税を25%から15%に引き下げることで合意。だが両国はこの投資に関する約束が具体的にどのように機能するかを巡り、相違を埋めるのに苦労している。トランプ氏は一時、日本との取引と同様にプロジェクトごとでなく、資金が「前払い」で支払われるべきだと主張した。

 トランプ氏は大胆な合意を発表し、細かい詰めは後回しにすることを好むが、一部のエコノミストは今回の問題がそのような方針の危険性を示していると指摘。ムーディーズ・アナリティックスで国際経済部門の責任者を務めるガウラブ・ガングリー氏は、「これらの取引は依然、かなりパフォーマンス的なものと感じられる」とした。

 それでもトランプ氏は、韓国との交渉において突破口は近いと示唆。同氏はマレーシアへ向かうエアフォースワンでの会見で、「最終決着にかなり近づいている」とし、「彼らが準備できていれば、私は準備ができている」と述べた。

 トランプ氏は27日には日本に到着して天皇陛下との会見に臨み、28日には高市氏と首脳会談を行った。

 日本はトランプ政権にとって、貿易上の成功例の一つとなっている。日本政府は今後数年間で米国に5500億ドルを投資することに合意し、その見返りに自動車を含む日本からの米国向け輸出品の大部分に15%の関税が課される。また合意条項の下では、米国は日本が資金提供するプロジェクトの特定において大きな役割を果たし、日本政府は米国が当初の支出を回収した後、投資からの利益の90%を米国が得られることに同意した。

 トランプ政権の複数の当局者は今春、数十カ国に対する関税案を発表した直後、オーストラリア、インド、日本、韓国、英国の5カ国との迅速な取引を優先したいと述べていた。英国とは米国が関税を10%まで引き下げる見返りに、英国側が米国の航空機や食品を購入することで迅速な合意に達した。

 また、米国に対し貿易赤字を抱えるオーストラリアは輸出品の大部分に対する関税が10%となっているが、合意はまだ先とみられている。オーストラリアのドン・ファレル貿易相は、政府は米国が関税を完全に撤廃すべきだと考えているが、時間がかかる可能性があることを認めた。またオーストラリアのメディアに対し、「こうしたことは一夜にして解決されるものではない」とこれまでに語っている。

 インド政府も手ごわい相手だ。ナレンドラ・モディ首相は週末、マレーシアでトランプ氏との対面式で会談する機会を見送り、東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議にバーチャル形式で参加することを選んだ。

 インドと米国の貿易交渉が数カ月間続いた後、トランプ氏は同国に50%の関税を課すと発表した。これは同国がロシア産石油を割引価格で購入し続けていることに対する処罰の側面もあった。この関税が夏に発効して以来、米国向けインド商品の輸出は急減しているため、モディ氏には合意をまとめるよう国内からの圧力が高まっている。

 トランプ氏は2期目就任以降初となる今回のアジア歴訪で、すでにいくつかの取引をまとめている。米政府は26日にはマレーシアおよびカンボジアと詳細な合意を結び、関税を引き下げる代わりに両国が車両や農産物を含む米国商品の購入を増やすことになっている。米国はまた、タイおよびベトナムとより大まかな合意に達し、これが今後はより完全な貿易協定の基盤となる可能性がある。

(The Wall Street Journal/Jason Douglas in Tokyo, Timothy W. Martin in Seou and Shan Li in New Delhi)

※この記事はWSJにて2025年10月28日 14:23 JSTに配信されたものです。

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