アマゾン、最大3万人を削減へアマゾン・ドット・コムの球体オフィス(ワシントン州シアトル)
PHOTO: IAN ALLEN FOR WSJ

 米アマゾン・ドット・コムは28日にも最大3万人の従業員をレイオフする計画だ。事情に詳しい関係者が明らかにした。スリム化と資金節約を目指す同社の最新のコスト削減策となる。

 今週中に全て実施されるわけではないが、この人員削減は同社のオフィス従業員の約10%に相当するという。

 28日には何千人もの従業員に解雇通知が出される見通しで、人事、クラウドコンピューティング、広告など多くの事業部門にわたって影響が及ぶという。削減総数はまだ確定していないと関係者の1人は述べた。

 米国の大企業は、人工知能(AI)の活用を含め、従業員数の削減や増加ペース鈍化の方法を検討している。物価上昇、労働市場の逼迫(ひっぱく)、ドナルド・トランプ米大統領の貿易戦争の動向などを受け、企業幹部は成長を損なうことなく経費を削減する方法を模索している。

 アンディ・ジャシー最高経営責任者(CEO)は、クラウドコンピューティング事業で競争激化に直面し、人工知能(AI)への支出を拡大する中、何年にもわたり費用削減に取り組んでいる。

 人員削減規模はロイター通信が先に報じていた。

 今回の人員削減は、アマゾンが約2万7000人の削減を実施した2022年以降で最大規模となる。当時のレイオフは段階的に行われた。

 関係者によると、同社はこの削減を、新型コロナウイルス禍の間の積極的な採用を修正する取り組みの一環と捉えている。コロナ禍の間にはオンラインショッピングの急増を受け、アマゾンは2年間で倉庫ネットワークを倍増させた。これによりブルーカラーとホワイトカラー両方の職が創出された。

 ジャシー氏は、同社がより少ないリソースでより多くのことを実現する方法を模索してきた。6月には従業員宛ての文書で、AIの利用拡大により特定の職種の必要性がなくなると述べた。同氏は生成AIを、アマゾンが消費者や他の企業との関係、また人員削減を含む自社の業務運営の方法をすでに変えつつある、一生に一度の技術変革だと位置付けた。