植物が成長する感動を親子で一緒に味わうことで、命と触れ合う機会が少なくなった現代っ子の「心」を育む──。そんなコンセプトの下、誕生したのが室内で手軽に水耕栽培ができる「グリーンファーム」だ。販売するのは家電メーカーの老舗、ユーイング。開発のきっかけや商品化までの苦労について深田芳彦社長にうかがった。

代表取締役社長 深田 芳彦氏

 室内で手軽に野菜の水耕栽培ができる「グリーンファーム」が話題を集めている。アクアリウムのようなスタイリッシュなデザインの栽培器で、LEDの光を庫内に照射して野菜を育てるツールだ。

 手間いらずで清潔に野菜の成長過程を観察できるのはもちろん、収穫後に食べることもできる。野菜を育てて、収穫・調理して食べるといった体験は、子どもにとって自然を学ぶきっかけになる。また観察を目的としなくても、みずみずしい緑に癒やされるインテリアとしても楽しむことができる。

20種類の野菜を栽培
水やりや手入れは簡単

 操作は実に簡単だ。栽培スポンジに種をまき、養液をセットし、時計とタイマーをセットして、運転ボタンを押すだけ。水やりは一月に1から2回と手入れはいたって簡単。土を使わず、虫が入り込みにくい半密閉構造のため、衛生的だ。省電力のLED搭載なので電気代を気にしなくていいのもうれしい。

 栽培できる野菜の種類は、レタス、ルッコラ、クレソンなど全20種類。種子・液体肥料・栽培スポンジをセットにしたキットを使うので、誰がやっても失敗することはない。

 グリーンファームを開発したのは、季節家電などを主力とする電気機器メーカーのユーイングだ。深田芳彦・代表取締役社長は開発の経緯をこう語る。

「3年前、水耕栽培工場を見学する機会がありました。そこでのぞき窓から見た野菜の美しさにとても感動しました。その感動を家庭で手軽に味わってほしい。また、われわれのような団塊の世代と孫世代の間で、感動の体験を共有してほしい。そのような思いをきっかけに商品開発に着手しました」

*電気代は1日約9.5円。タイマー運転/1日16時間設定、発芽モード設定の場合。全国10電力会社平均単価(1kWh=22円・税込)にて算出