CSVへの
親和性が高い日本企業

 では、CSVとは、具体的にはどのような企業活動を指しているだろうか。

 CSV実現へのアプローチとしてポーターが挙げる要素に「プロダクトと市場の見直し」がある。これは、「社会的課題を解決する製品・サービスを開発・販売すること」だと、川村氏は説明する。

 この手法によるCSVの成功事例の一つとして挙げられるのが、大手自動車メーカーによるハイブリット車の開発だ。このケースでは、環境負荷の少ない自動車を作るという社会的課題の解決が、新しい市場の創出に直結している。

「日本企業には、1990年代の地球環境問題を契機に、環境経営という考え方が浸透しています。いわば日本版CSRですが、環境に配慮した製品やサービスの提供は日本企業の得意とするところです。つまり、CSVという概念が登場する以前から、すでにCSVの基礎となる思考的なフレームワーク持っていたと言えます」(川村氏)