【東京都助産師会】
  妊産婦が利用できる「マイタクシー」

東京都助産師会 会長
石村あさ子 氏

 東京都助産師会は、東京都内に居住、あるいは勤務する助産師を組織する一般社団法人である。1000人の会員を擁するこの団体は、国際自動車と提携し、「マタニティ・マイタクシー」の普及活動を行っている。

「マタニティ・マイタクシー」は、国際自動車が提供する妊産婦向けのサービスである。住所、出産予定日、出産予定病院などを登録しておけば、出産時に電話1本で駆け付けてくれ、そのまま病院や助産院に運んでくれるという便利なサービスだ。連絡を受けて到着するまでの時間は、利用場所や時間帯などにもよるが平均8分間とのことだ。

「従来は、陣痛が始まってからタクシーを呼んでもなかなか来なかったり、路上で拾おうとしても見つからなかったりということが頻繁にありました。マタニティ・マイタクシーは、これまでにない、画期的なサービスと言っていいと思います」(東京都助産師会会長・石村あさ子氏)

 しかし、ドライバーにとっては、陣痛が始まった妊婦を乗せることは大変なプレッシャーである。そのプレッシャーを軽減し、妊婦に対する適切な対応ができるようにするため、石村氏自らが、国際自動車のドライバーに対して定期的に講習を行っている。

「大切なのは、妊婦に対する心配りであると、私はいつも申し上げています。優しい言葉、励ましの言葉をドライバーが妊婦にかけてくださるだけでスムーズな出産ができる可能性が高まるのです」

 移動時の「安心感」を提供するのが、このサービスにおけるドライバーの一番の役割だが、いざというときの備えがあるという点で、妊婦と出産施設の両者に対して事前の安心感を提供するという効果もあると石村氏は言う。

「このようなサービスがあることで、妊産婦への社会的な配慮が高まることを期待しています。妊産婦だけでなく、幼い子を連れたお母さんや、年配の方々がマイタクシーを持つという風潮も広まっていくといいですね」