経費を申請する側としては、「忙しい業務の合間に申請しているのに、やり直しや期限切れでの却下はひどい」、管理側としては「ルールに則って申請しないほうが悪い」……。経費の申請業務は、ともすれば、企業と社員の間にこんな軋轢を生んでしまいかねない危険性を孕んでいる。これは、ひいては企業の組織力にも影響を及ぼすことすら考えられる。申請から承認に至るまでのルールとプロセスを簡素化し、透明化することが求められているのだ。

経費申請業務の簡素化に
「こんな機能がほしい」

【グラフ3】 経費精算業務は誰が行うべきか(n=115)
拡大画像表示

 冒頭で見たように、回答者の63.5%が経費申請は紙やエクセルで行っているのが実情だが、「申請は誰が行うべきか」という質問に対する回答では、例え申請業務が面倒で時間がかかっても、全体の約64%が「申請は経費を使う人自身が行うべき」と答えている(グラフ3)。

 そこで、経費精算システムを導入した(している)場合、経費申請者の負担を軽減する機能としてどのような機能が役立つと思うかを聞いた結果がグラフ4だ。

【グラフ4】 交通費・諸経費精算システムを導入した(またはしている)場合、役に立つと感じる機能は? 複数回答(n=238)
拡大画像表示

 外出で交通機関を利用する場合、かかった交通費を申請の時にいちいち経路を思い出しながら調べるのはたしかに非効率だ。というわけで、「乗り換え案内ソフトとの連動」機能を求める声が多かった。

 また、移動の際は、ほとんどの人が「Suica」「PASMO」などの交通系ICカードを利用し、その移動経路の履歴がカード内のICチップに記録されている。同様に、交通費以外の経費もクレジットカードで決済すれば利用履歴が記録される。

 こうした電子記録媒体との連動性を持ったシステムの機能に期待する声が多かった背景には、申請作業の手間の排除はもちろん、申請内容の透明性の確保がしやすいこと、人為的なミスが減るという期待もあるだろう。少数意見には、「コインパーキングの精算ができる機能」を希望する声もあった。経費精算は、IT化するメリットが生まれやすい業務分野の一つであることが、業務の現場では認識されているのだ。