例えば個々の店長、エリアをまとめるスーパーバイザー、本部の担当者といった各階層別に、現在、「どの店舗にどのような応募者が何人いるのか」「そのうち何人が面接に進んでいるのか」という応募と面接の状況を正確に把握して採用の効率化を図ることが容易になる。また、応募者を取りこぼさぬよう面接日程を決定したり、企業側に蓄積された応募情報を活用して将来の採用活動に活かす、といったきめ細かい対策が的確に打てるようになる。
経営者はココに気付け!③
「人財」は正社員だけではない
「リクオプ」を導入、業務を可視化したことでアルバイトの採用率が改善した例では次のようなケースがあるという。
「慢性的な人手不足に見舞われていたある大手飲食企業は、企業の知名度と求人広告効果で応募数は増えていたんです。ところが『リクオプ』でデータを見てみると、採用決定率が下がっていることに気が付きました。つまり応募者数の増え方ほどには採用数が伸びていないという効率の悪い状態が続いていたんです。しかも曜日や時間帯で採用数に大きなバラツキがあった。原因を分析したところ、求人広告を出した翌日のような応募者が集中する時に、受付担当者数を増やすといった工夫をしておらず、応募者からのメールや電話が放置されていたことが判明しました」(金子氏)
これが新商品の発売日であれば「対応人数を増やさなければならない」と誰でも考えたはずだ。だがアルバイト採用ではそうした当たり前の対応がされていないことが、採用プロセスの可視化によって明確になった。
それを受けて応募者が集中する曜日、時間帯に受付担当者数を増やしたところ、この企業では採用決定率が目に見えて上がったのだという。
アルバイト採用のプロセスを把握することは業務の効率化、適切な採用につながる。それが店舗の安定的な運営、さらなる事業拡大につながっていく。
「私たちはアルバイトの採用課題が、実は経営課題に直結していることを経営側の方々に認識していただくことが重要だと考えています。今は『リクオプ』を通じて採用プロセスの可視化に取り組んでいるところですが、将来は人材の定着、人材の育成にまでつなげていきたいと考えています」(金子氏)。
経営者が好んで口にする「人材は人財」という表現は、正社員だけに向けられるべきものではない。アルバイトも、企業を発展させるための貴重な「人財」なのだ。
(取材・文/山本信幸)