どんなビジネスもIT抜きでは成り立たない現在、「専任の担当者がいない」「IT投資に限度がある」など、IT活用に関して中小企業はさまざまな課題を抱えている。その解決策はどこにあるのか。目前に迫ったWindows XPの移行問題を中心に探る。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン編集部副編集長 指田昌夫)

 スマートフォンに代表されるように、ITはますます身近な存在になりつつある。どんなビジネスもIT抜きでは成り立たないだろう。一方で、ITの世界は日進月歩。進化のスピードは速い。ITが進化することでビジネスのスタイルも変わりかねないため、先進技術をいち早く採り入れたところが先行者利益を得るということも少なくない。

 それだけに専門の担当者を置くだけの余裕のない中小企業にとって、ITとどう向き合うかは大きな経営課題だ。そうした中で大きな問題になっているのが、Windows XPのサポート切れの問題である。2001年に登場し、これまで企業内で最も普及してきたWindows XPのサポートが2014年4月に終了になる。

 サポートが打ち切られることで、どんなリスクが考えられるのか。企業としてどう対応するべきなのか。コンピュータメーカーであり、包括的なサポートサービスも展開しているデル、財務会計ソフトを販売する弥生、それぞれの担当者に、中小企業の抱えるITの課題、サポート切れに対する各企業の対応と対応にあたってのポイントを聞いた。

複雑化する
IT活用の課題

――ITがビジネスに大きな影響を与えるようになっていることは間違いありません。しかし、中小企業は人もお金も限られている。ITとどう向き合うかは悩みの種です。それぞれのお立場から、中小企業の課題はどんなところにあるとお考えでしょうか。

弥生
マーケティング本部 マーケティング部
マーケティングコミュニケーションチーム
マネージャー
青木宏之氏

青木 当社のお客さまの多くは従業員数が5人以下の企業です。ITも社長が取り仕切っているはずです。しかし、社長は他にも仕事が多い。できればITのことはあまり考えたくない、というのが本音ではないでしょうか。専任の担当者がおらず、仕方なく自分で判断しているというのが現状でしょう。

 そこで問題になるのが、判断のための情報の入手先の範囲が、Webの記事や友人、知人などに限られているということ。これらの情報が自身の会社にとって正解かどうかは疑問です。そこで当社では、「あんしん保守サポート」というメニューを用意しています。当社の製品だけでなく、業務相談やPC・ネットワークトラブルのサポート、PC周辺のアップグレードなど、小規模企業では常設が困難と思われる情報システム部や人事・総務部などの部門サービスを提供しています。

井村 実は当社は、グローバルと同じように日本国内の中小企業向けの市場でもずっとトップクラスのシェアを占めてきました。中小企業では、経営者自身がITの導入を判断しているケースが多いのですが、管理運用まで考えた投資コストと提供される機能を考えたときに、当社の製品、ビジネスモデルがその業態にフィットしているためでしょう。

デル
クライアント製品&ソリューション マーケティング本部
マーケティング シニア マネージャー
井村英三氏

 当社でも包括的なサポートサービスを提供しており、IT機器に関する使い方などの相談を受け付け、故障・不具合といったトラブル時には、電話や遠隔操作、訪問といった手段でユーザーを支援しています。

 しかし、ITを取り巻く環境は大きく変わっています。スマートフォンやタブレットPCなど利用する端末の種類が増えたことで、IT全体をどう運用していくのかが問題になりつつあります。さらにインターネットを通して利用できるサービスが増えていることも、問題を複雑にしています。自前でハードウエアとソフトウエアを用意するのか、サービスとして購入するのか。どれがよいかは、業種、業態によっても変わってきます。ビジネスを効率化するために経営者には非常に高いITリテラシーが求められるようになってきました。