団塊ジュニアの老後に思いをはせる

オウチーノ代表取締役
社長 兼 CEO
井端純一 いばた・じゅんいち

同志社大学文学部新聞学(現メディア学)専攻卒。
リクルートを経て、『週刊CHINTAI『ZAGATSURVEY』取締役編集長などを歴任。2003年、オウチーノを設立。「新築オウチーノ」、「中古オウチーノ」、リフォーム業者検索サイト「リフォーム・オウチーノ」、建築家マッチングサイト「建築家オウチーノ」などを運営。著書に『広報・PR・パブリシティ』(電通刊)、『30年後に絶対後悔しない中古マンションの選び方』、『10年後に絶対後悔しない中古一戸建ての選び方』(共に河出書房新社刊)などがある。

 わが国では、65歳以上人口が総人口に占める割合(高齢化率)は、1950年には5%に満たなかったが、70年に7%を超え、昨年24%を超えた。
このまま増え続けて、2030年には65歳以上人口が3人に1人となる見込みだ。

 75歳以上人口も、現在の1.6倍に増える。そのころには団塊ジュニア世代が高齢者の仲間入りをして、要介護となっている団塊の世代と、二段構えの老後問題に突入しているだろう。

 団塊ジュニアは、現在、住宅取得をどうしようかと考える年代だ。彼らは住宅を選択するにあたって、共働きを前提とすることもあり、都心志向を強めている。全国的に見れば、首都圏一極集中が顕著となっている。

 今は、それでもいい。しかし団塊ジュニアが老後を迎えるころ、街はどうなっているかと想像すると、見通しは暗い。

 すでに東京都心部でも、古い団地などは一部、限界集落化してきている。このまま若者の比率が減り続ければ、首都圏でもあちこちで、維持が困難な自治体が出てくるだろう。単にインフラが老朽化する、スラム化するだけではない。

 将来、首都圏では、高齢となった人々が、望んでも十分な医療や介護を受けられなくなる可能性が大きい。

 ところで現在、65歳以上の高齢者世帯は、個人金融資産の5割を握っている。彼らの財布のひもが固いのは医療と介護の費用が心配だからだ。特に大きいのは、長引く介護の不安である。

 その点、地方中核都市に目を向ければ、あと十数年たっても、医療と介護を充足させうる大きなポテンシャルがある。そこで仮に、高齢者が地方都市に移住する未来図を描いてみよう。北海道が「60歳、無職の3000世帯」をそっくり道内に移住させたら、どの程度の経済効果をもたらすか試算した。