新学部等の設置と
都心回帰の動きに注目

 受験生と社会のニーズの変化に対応して、大学の改革が多様な側面で進行中だ。中でも目立つのが、学部、学科やコースの新設である。「資格取得に対する関心が高いため、看護など医療系の学部・学科の新設が続いています。その一方で、学際的な学究を目指すタイプの新設も相次いでいます」。

 新設学部等に関しては、過去の実績などがないため進学先として選ぶのにためらいを覚えることがあるかもしれない。これに対して安田常務は、「年々、設置基準が厳しくなっている中で認可された点を評価すべきでは」と言う。少子化の今、大学側も自信と勝算があってこそ、学部等の新設・改組に踏み切るからだ。また、新設学部等には大きな魅力もある。「自分たちが新たな伝統をつくる機会を得られることに価値を感じる受験生が少なくありません」。

 もう一つ注目したいのが、カリキュラムや教学スタイルの進化だ。少人数教育やアクティブラーニングなどを取り入れる大学が急増している。高校までにはない教学スタイルに適応するための準備教育に力を入れる大学もある。これら新しいカリキュラムには、それなりの設備が必要なことも多い。学舎の新設によって、より高い効果を期待できるだろう。

「キャンパスの都心回帰の動きも、カリキュラムとの関係で見る必要があります」と、安田常務は注意を促す。OB・OGはじめ社会人を講師に招いたり、インターンシップや共同研究などを円滑に進めるため、企業が集積する都心にキャンパスを移すのは必然の流れだからだ。「キャンパスの立地が実社会との接点になること、そして就職活動に影響を与えることも見逃せません」。

大学の現状を理解し
適切な進学先選びを

 これらの大学改革の動きは、受験生もしっかりとキャッチしているようだ(表3)。とはいえ、大学選びに際しては、よりしっかりと情報を確かめたい。大学案内の冊子やホームページなどが入り口になるが、教学の内容を詳しく知るには、学部・学科や研究室のホームページを閲覧するといいと安田常務はアドバイスする。「受験生の視野は、やはり狭くなりがち。大学の最新の学究がどういうものか、自分がどのように学んでいくのか、具体的にイメージすることが志望校選びには大切です」。

 さらに、オープンキャンパスにも積極的に参加してほしいという。「保護者世代のキャンパスや設備、授業とは全く異なる内容で展開している大学が増えています。子どもさんと一緒に体感することで、保護者の経験を交えて子どもさんにアドバイスできるのではないでしょうか」。模擬授業を保護者にも公開する大学もあり、こうした機会を利用したいところである。

「どんな大学、環境がわが子に合うのか、的確に判断できるのは保護者以外にいません。訪れている他の受験生の様子や職員の雰囲気など、足を運んでこそわかることが、たくさんあるはずです」とも安田常務は語る。

 進化する大学の現状を理解し、子どもと共に4年間で人間力をアップできる場を選び抜きたい。「実に多様な学びの場があります。目指す大学を決めて、そこに向かって努力すれば、受験生は驚くような潜在力を発揮するものです。初めから実力相応と考えるのではなく、挑戦によって成長するチャンスと捉えていただきたいところです」。