消費税の引き上げに合わせてシステム全体を見直す際に、核となるのがサーバである。最新のサーバを導入することによる、システム面でのメリットは大きい。しかし、サーバの選択は経営者にとってハードルが高い。ここでは、「そもそもサーバとは何か」という基本からサーバの役割と、選定のポイントを考えてみよう。
ITコストを増大させる
ブラックボックス化
サーバ(server)とは何か――字義通り解釈すれば「仕える、奉仕する(serve)者」ということになる。ここから発展して、ITの世界では「他のコンピュータにサービスやデータを提供するコンピュータ」とされている。サーバには仕事で使うアプリケーションが搭載され、社員はサーバに接続して、必要な機能を利用し、作成したファイルやデータをサーバに保管する。企業コンピューティングの核となる存在と言ってもよいだろう。
しかし実は、サーバを構成する物理的要素は、普通のPCとそれほど変わらない。CPU、メモリ、記憶装置、ネットワークアダプタなどから構成され、サーバ向けソフトウエアが搭載されている。中小企業向けサーバでシェアNo.1を誇る(IDC調べ※注1)デルの大川博史氏は「まずはシンプルに、よりパワフルなPCと考えていただければいいと思います」と強調する。
※注1:出典 IDC, Worldwide Quarterly x86 Server Tracker, 2013Q2
マーケティング統括本部
エンタープライズサービス&ソリューションマーケティング本部
ブランドマネージャー大川博史氏
前述したように、サーバの構成要素は普通のPCとあまり変わらない。一つひとつのパーツの信頼性はPCより高いが、特別視する必要はない。サーバといえば難しいものと考えて距離を置いてしまうのではなく、企業経営にとって必要不可欠なツールとして積極的に関わっていく姿勢が求められている。
日常の業務を支える存在だけに、「選び間違えれば大変なことになるのでは」と慎重になるのも無理はない。しかし、大川氏は「難しく考えることはありません。技術の標準化も進み、昔に比べITは格段に使いやすいものになっています。初めから誰かに任せてしまうのではなく、自ら取り組む意欲さえあれば問題なく必要なサーバを選定できると思います。ある意味、英語と同じと言えるかもしれませんね。苦手意識を捨てることが重要ではないでしょうか」と呼びかける。
中小企業にとってサーバの費用は決して安くはない。その選択を人任せにしてよいものだろうか。例えばこれまで150万円かかっていたサーバが、自分で選定すれば50万円で済むかもしれない。その金額の違いは経営コストに跳ね返り、企業としての競争力を左右する。この大事なポイントをブラックボックス化しているのは、経営者の怠慢ではないだろうか。