低迷が指摘される電機産業の中で、勝ち組の一社として存在感を増す東芝グループ。しかも、経営方針に「創造的成長」を掲げ、さらなる成長を目指している。ここでは、東芝グループが目指す「創造的成長」はどのような方向性を持ち、どこが画期的なのか、2回にわたって読み解いてみる。前編は、ICTとクラウド基盤の切り口から、その独自性を考える。
東芝グループが考える「創造的成長」とは、市場の伸長に過度に依存することなく、東芝ならではの事業領域と手法の下、成長のエンジンを自らつくり出していくことである。
すでに売り上げの55%を海外であげている東芝グループとしては、単純に市場を海外へシフトする発想ではなく、事業機会をこれまでとは違う角度から発掘したり、複数技術の組み合わせによる相乗効果で用途を拡大したりする「価値創造」に重点を置くと宣言したわけだ。価値や市場を自ら「創造」するのであれば、事業機会も無限大に生み出すことが可能である。
この新経営方針を実現するため、2013年10月には、大規模な事業グループ再編を行った。従来の4事業グループを社内カンパニーから関係会社まで含めて大胆に組織改編し、「5事業グループ+1」の体制を敷いたのである。
製造・産業・社会インフラソリューション事業部
業務ソリューション技術部 部長
山本修二氏
「『+1』は、新設された『クラウド&ソリューション事業』です。全社横断的なICT&クラウドで、5事業の創造的成長を支えます」と、東芝の社内カンパニー、クラウド&ソリューション社の香川弘一氏は言う。
同社と一体になって、全社横断的なICT&クラウド提供に取り組むのが、東芝ソリューションだ。「個々の事業グループの競争力を支えるICTを担うとともに、クラウドサービスやさまざまなICTソリューションの事業化・外販に取り組んでいます」と、東芝ソリューションの山本修二氏は話す。
国内外グループ会社590社、約21万人(13年3月末時点)を擁するグローバル企業の東芝グループが、部門・事業・グループ会社の境界を越えた全社横断的なICT利用環境の実現に向けて、本腰を入れたのである。
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