「創造的成長」の経営方針の下、持続的躍進を目指す東芝。前編では、東芝グループが実践する成長戦略について、ICT利用の切り口から考察した。グローバルで総従業員数約21万人(2013年3月末時点)に上る同グループが、全社横断的なICT基盤を、グローバルクラウドを中心に据えて構築しようとしている点に注目した。後編では、営業改革と営業支援CRM視点から、同社の戦略を読み解きたい。

 東芝の新経営方針を概観すると、「創」が随所で強調されていることに気づく。

「創造的成長の実現」が主たる方針だが、これを実現するために、「価値創造」と「生産性向上」を二本柱に据え、価値創造の具体的な方策として「創発(ニュー・コンセプト・イノベーション)」を推進する。日本を代表する大企業グループという地位に安住することなく、市場と顧客視点に立脚し、新たに事業機会を創造していこうという意欲にあふれているのである。

 こうした企業活動を継続していく上で、営業面では「オール東芝としてのソリューション営業力強化」が不可欠としている。顧客企業が抱える問題を包括的に解決するために、多種多様な技術とノウハウを持つ「オール東芝」の総合力発揮が求められるのである。

 新しい視点の取り込みや発想の転換を伴う営業改革には部門や会社を超えた情報共有とコミュニケーションを支える新たな仕組みが必要となる。「グローバルで多様なビジネス形態を支えるICTシステムを構築し、イノベーションを生み出す情報基盤を構築することは、東芝グループのICT戦略の基本命題であり、会社横断的な仕組みの基盤にできるのが、クラウドなのです」と、東芝の社内カンパニー、クラウド&ソリューション社の香川弘一氏は語る。

東芝グループが目指すソリューション営業力強化の概要イメージ
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 同社と一体になって、ICT&クラウド事業に取り組む東芝ソリューションの山本修二氏も次のように語る。「関連する多くの部門、多くの人の知識をグローバルレベルで結合し高い価値を創り、お客さまへの価値提供をスピードアップすることが強く求められています。営業活動をICTで支援することは必須であり、総合力を結集したソリューション営業力を強化するためには、事業や組織を横断して情報共有を可能にする営業支援CRMが必要です(図)」。

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