サービス業の差別化戦略としての 接遇力

「あのレストランは料理がおいしいだけではない。社員の応対が本当に素晴らしくて、何ともいえない心地よい気分だった!」
「評判がよいから泊まってみたけど、まさにうわさ通りのホテルだった。フロントも案内係もみんな、心からの笑顔で迎えてくれて、本当にリラックスできた!」

 こうした「心からのもてなしを受けている」という満足感を一度でも知った顧客は、それを求め、今後、何度も足を運ぶだろう。接遇力は、自社を他社と差別化する強力な武器となり、サービス業・小売業が生き残る条件「固定顧客の獲得・維持」=「業績向上」を実現する大きな力となる。

 企業価値を最大限に高めるものとして接遇を重要視する風潮は年々強まっている。創意工夫に満ちた優れたサービスを提供する企業「ハイ・サービス日本300選」(サービス産業生産性協議会実施、経済産業省がオブザーバーとして参加)に選出された企業は、接遇力向上の結果、大きな実績をあげることに成功している。

 実際に、表彰されたある企業では、顧客視点で社員自らが考え、接遇を行うことを目指して「接遇サービス向上の取り組み」と銘打った全社的な対応改善の試みを進め業績が向上した。

「すでに大企業、中小企業を問わず、サービス業・小売業の分野では多くの企業が接遇力の向上に力を入れ、自社ブランドの価値を高めています。単なるマナー習得だけで満足していては接遇力を養っている同業他社に大きく差をつけられる可能性も高いのです」と浜田氏。接遇は競争力を持ち得るが、マナーだけでは競争力にはなり得ないといえよう。

 次回は、「業務能力×接遇力」で最高のサービスを創り上げる極意について、浜田氏のレクチャーを受けながら、『接遇力』を掘り下げていく。