「聞く」と「聴く」の違いが
接遇力の大きな違いに

 次に「聴く」とは、顧客の言葉を自分勝手に解釈するのではなく、相手の立場や状況に立ち、顧客が本当に求めることを心で聴く能力だ。気づくためには、その前提として顧客視点で「聞く」ではなく、「聴く」ことが必要になる。

 本当に、顧客が求めていることは何なのかと顧客視点で考えないと、「気づき」や「聴く」は主観的なものなってしまい、結果、要望に応えることができないどころか、意に反することにもなりかねない。

 浜田氏は例を挙げながら説明する。

「あるお店で大きなバッグを持って買い物をしているお客さまに、バッグを預かろうと声をかけた社員がいました。お客さまは礼を言いつつも、預けることを辞退したところ、なおも、その社員は預けることを促しています。お客さまがそのバッグを特に邪魔だと思っていない、もしくは貴重品が入っているから置きたくないと思っていたかもしれません。その社員はお客さまの気持ちを理解できていないわけです。これはお客さま満足どころか、かえって迷惑がられていた可能性があります。こうした状況を避けるためには、自分自身の価値観だけでお客さまの要望や状況を判断するのではなく、『人は皆違う』という視点でお客さまに向き合うことが求められているのです」