現役記者と外部専門家
総勢70人以上が熱い議論

「データジャーナリズム・ハッカソン」当日。12人の朝日新聞記者に加え、60人以上の外部専門家で構成された各チームの議論は白熱した。12時間という限られた時間の中で、自分たちが決めたテーマに沿ってインフォグラフィックやアプリを開発、発表しなければならない。

 参加した世論調査部の山下剛記者は、今回のイベントの意義を次のように話した。

「新聞記者ってもともと一匹狼なんです。与えられたテーマを基に現場に行って取材をする。情報は足で稼げと先輩に教えられました。記事を執筆した後、紙面でどう掲載されるのかを決めるのは編集者。つまり新聞記者は『個』の仕事であり、誰かと『協業』することはあまりない。まして企画の段階から、外部のデザイナーやプログラマーと打ち合わせを共にすることはとても新鮮で、勉強になりました」 

「取材で膨大な情報を得たとしても、新聞の限られた紙面、行数で記事をまとめなくてはならない」「数字や専門用語が多ければ多いほど読者には読みづらくなる」など、記者自身が抱えるジレンマや、新聞の持つ課題を、編集の段階から記者と外部のクリエーターやデザイナーが協議することでいかに克服できるか。

 単なる「発信」のみではなく、読者にどのように「到達」させるのか。

――こうした意見交換が会場中で行われ、各チームに与えられた12時間とういう「アプリ開発合戦」の時間はあっという間に終了した。