世界で初めて、停電しても稼働を続けるプリンター、ファクス、コピー、スキャナーの4機能を備えたデスクトップ型の複合機が開発された。日常のビジネス使用はもちろん、小型・軽量ながら災害時の事業継続に真価を発揮する頼もしい商品が登場したことで、企業のリスク対策は一気に進んでいる。

停電時にも1000枚の連続印刷を実現

 大規模災害が発生した場合、電力や通信網が寸断されるため、ビジネスの現場は混乱に陥る。特に問題なのは、メールやファクスなど情報収集と発信に重要な役割を果たすツールが、本来の機能を発揮できないことだ。東日本大震災発生後の2~3日間、それは現実となった。

RICOH SG 3120B SF

※撮影用に左下のバッテリーを引き出しています。

 以降、多くの企業が「初期対応期」の指揮命令の周知、情報活用などを事業継続施策に組み込む必要に迫られた。それを実現するのが、停電しても眠らない複合機「バッテリー搭載ファクス機能付き複合機 RICOH SG 3120B SF」である。プリンター、コピー、ファクス、スキャナーの4機能を備えた複合機で、停電時稼働機の開発は世界初(*1)だ。

 商品名の通り、開発アイデアは極めてシンプルだ。A4型の複合機に充電型のリチウムイオン電池を搭載し、停電時には電池で駆動する。その上で、機能面でも多くのこだわりと思いやりが込められている。

 プリンターとして使う場合、約1000枚まで連続印刷を可能にした。ファクス送信では約300枚、受信では約250枚、そして1時間に約100枚を間欠印刷した場合の稼働時間は、約7時間を確保している。これは1時間に50~60枚をプリントした場合に、半日は利用できることを意味している。

リコージャパン
ドキュメントソリューション事業本部
マネージャー  福留剛 氏

 開発を担当した福留剛・リコージャパン ドキュメントソリューション事業本部マネージャーは、「被災地で求められる性能レベルと、バッテリー駆動で実際にできることのバランスを考え、とことん追求したのが連続印刷1000枚の実現でした」と打ち明ける。

 停電しても公衆加入線の通信網が機能すれば、供給される専用電力によりファクスが使えるのも大きな特徴だ。昔の黒電話の技術が、今なお生かされているわけだ。通常は電力を使う複合機で、通信網の専用電力を併用できるのも世界初である。

 複合機本体にあるUSBポートから電池の電力を外部に供給することもできる。5ボルト・500ミリアンペア以下のUSB機器を接続でき、スマートフォンならば3台を充電できる。

*1 ファクス機能付複合機において(2013年12月時点、リコー調べ)