今年で創立50周年を迎える商品先物取引のサンワード貿易。市場全体の出来高が低迷する中、対面営業のあり方を一新して商品先物取引の新たなファンを増やしている。代表取締役社長の依田年晃氏に聞いた。

オンラインと対面二つの
注文方法にこだわる

サンワード貿易
依田年晃 代表取締役社長

2007年7月代表取締役社長に就任。1977年の入社以来営業畑一筋。社長就任以降、コンプライアンス対応部門の人員増強するなど社内の営業体制改革を積極的に行っている。

──ここ数年、商品先物取引の出来高や取組高、預かり証拠金額などが減少傾向にあります。

依田氏 商品先物取引法の改正や不招請勧誘の禁止などによって、商品先物取引会社の数が減っていることも、大きな原因の一つと思われます。もちろん、健全な取引環境の整備や投資家保護のために規制を強化することは不可欠ですが、一方で、取引が減って市場の流動性が低下すれば、日本の商品先物取引市場の発展を妨げることになってしまいます。国や取引所だけでなく、商品先物取引業界も一緒になって、魅力ある市場づくりのための対策を講じていく必要があると思います。

──そうした中、サンワード貿易は商品先物取引の魅力を高めるべく、非常にユニークな取り組みを行っていると聞きました。

依田氏 当社は今年で創立50周年を迎えますが、私が社長に就任した2007年ごろから、サービスの内容や営業のあり方を大きく変えました。

 まず、同じ口座でオンラインと対面の両方を活用できるハイブリッドなサービスを実現させました。

 一瞬の値動きやチャンスを逃したくないという場合には、お客さまのお手元のパソコンや携帯電話、スマートフォンなどからオンラインで注文ができます。

 一方で、相場の見通しなどについて、担当と相談しながら注文したい方や、パソコンの操作が苦手な方は、当社の担当が面倒な発注手続きを承ります。お客さまの置かれている状況に応じて、お好きな方法で、いつでも注文を出すことができるわけです。

──対面注文はオンラインに比べてコストが掛かり、手数料も割高になりやすいので、商品先物取引業界ではオンライン注文に一本化する動きが進んでいるようです。あえてハイブリッド取引にこだわる理由は?

依田氏 商品先物はリスクを伴う取引です。それだけに、取引の仕組みや相場の読み方など、少しでもわからないことがあると、お客さまはどうしても不安になります。そうしたお客さまには、要望に応じていつでも訪問してアドバイスしてくれる営業担当者がいたほうが頼もしいと感じてくださるはずです。

 また、商品先物取引はプラスになればもうけも大きいですが、一方で損失も大きくなりがちです。大きな損を防ぐためにはマイナスをいかに抑えるか、というリスク管理が非常に大切になります。そうした知識をお客さまに身に付けていただくことがとても重要だと考えており、その視点からのアドバイスに重点を置いています。

 出来高が減り、経営が厳しい時代に、なぜコストの掛かる対面にこだわるのかと言われることもありますが、商品先物取引のリスクを理解しつつ、あえて取引にチャレンジするお客さまをできる限りサポートしたいという思いで続けています。

株式も値動きが大きい投資先であるが、商品の代表的な銘柄とされる金価格も値動きが大きい。こうした動きを理解し、大きな損失を回避するためには、いかにマイナスを抑えるかというリスク管理が重要なポイントになる。サンワード貿易ではリスク管理を重視した顧客へのアドバイスを行っている。