従来のモジュール化は新興国に追い付かれる
技術の標準化を基にしたきめ細かい対応を

 わずかな1つの機能を実現するために、多くの実験を重ね、膨大な実験数値を読み解き、確かな技術に辿り着く。複数の部品を繋ぎ合わせて1つの機能を実現していた時代から、集積回路などの出現により1つのICで実現される時代となった。開発には多大なる忍耐とノウハウ、そして投資を伴うが、一度確立してしまうとお金のみで解決されてしまう。

 シャープはある画像処理を実現する画期的なデバイスを開発したことで、超薄型化を実現し「液晶のシャープ」となった。シャープは10年以上の歳月をそのデバイスの開発に割いた。しかし、その製造装置やデバイスを購入すれば、サムスンやLGにでも同じスペックの製品の製造が可能となる。

 「デジタル化×モジュール化」を推進すればするほど、新興国の追い上げが加速する。いわゆる、モジュール化のジレンマだ。

 こうした第一世代のモジュール化の教訓を踏まえて、いくつかの自動車メーカーは第二世代のモジュール化の取り組みを開始している。「TNGA」や「MQB」にはその匂いを感じる。

 先ほども第二世代のモジュール化の説明で少し触れたが、彼らは部品やユニットのモジュール化をあくまでも結果としか見ず、それよりも「技術のモジュール化」に主眼を置いた取り組みを行っていると推察される。

 モノから入る共通化や標準化には限界がある。それを経験した企業では痛感しているはずだ。似たような機種の図面を並べて、共通化できそうな部品を抽出したり、寄せ集めたりしてゆく。しかし、1つの部品を変更すれば周辺の部品に様々な影響が及び、その影響を考慮し始めると結局全てを変えるしかなく、収まりがつかなくなる。

 それに対して、第二世代のモジュール化のキーは、技術の標準化、すなわち「チャンピオン化」が前提条件にあると考える。そして、その考え方をさらに高度化して、新製品開発や都度の顧客要求を高速に、きめ細かく実現する戦い方が、「超高速すり合わせ型モノづくり」の一端なのである。ちなみに「チャンピオン化」については連載第4回にて紹介しているので、初めての方はご覧いただきたい。

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「すり合わせの構造化」が新たな価値を生む

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