「オペマネの思考法」を解説するシリーズの第4回。東日本大震災で日本の製造業のサプライチェーンが寸断されたことは、壮絶な記憶である。最近、産業革新機構がルネサスエレクトロニクスへの出資を決定。トヨタ自動車が「トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー(TNGA)」を公表。我々はここで何を学んだのかを考えてみる。

 昨年12月に産業革新機構とトヨタを含む民間企業8社が、計1500億円をルネサスに出資することを決定し、今年の3月末にトヨタは、「もっといいクルマづくり」に向けて、「トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー(TNGA)」を公表した。この2つの決定は関連していて、日本の製造業の将来を考える時の重要なマイルストーンになる。「オペマネの思考法」の第4回目の今回は、2年前の東日本大震災のサプライチェーン寸断の事例に立ち返り、2つの製造業の事業プロセスの相互関係という観点から、震災と2つの決定の意味することを考える。

サプライチェーン寸断の2つの何故

 日本で一番黒字を出しているトヨタと一番赤字を出しているルネサスは、車載マイコンと呼ばれる半導体のサプライチェーンでつながっており、その鎖が東日本大震災で寸断された。その結果、トヨタは3ヵ月間、国内生産台数が半数以下になるという事態に陥った。 

 このサプライチェーンの寸断の意味することを理解するために、車載マイコンとは何か、そのサプライチェーンはどうなっているのか、何故、トヨタの生産が回復するのに3ヵ月もかかったのかを理解する必要がある。一方、ルネサスは震災前から、財務状況は最悪であった。ここでは、何故、車載マイコンのサプライチェーンでつながっている2つの会社の業績がこうも違うのか、ということを理解する必要がある。