2年間で中国人技術者の月収は1.5倍に
給料の値上がりと実力のアンバランス
上海で射出用金型の会社を経営している知人がいる。彼に尋ねた。
「35歳、男性。金型設計、機械加工の経験が10~15年。月収は?」
彼は、しばらく考え込んで「6000元~8500元」と答えた。
現在の為替レートで計算すると、おおよそ12万~17万円だ。彼の会社は上海の西側、海浦地区にある。中心街から車で1時間~1時間半の工業地帯だ。東京で言えば、埼玉の所沢や川越といったところだろうか。
2年前の月収を聞いてみた。「4000元~6000元」との答えが返ってきた。この2年間で1.5倍に増えている。
上海近郊に寧波という都市がある。上海近郊で最も金型企業が集積しているエリアだ。数名~数百名の中小企業が、300社ほどあると言われている。東京で言えば、大田区だろうか。ただし新幹線で2時間の距離なので、新潟あたりだろうか。この寧波の相場は、上海よりも1000元ほど低いらしい。それでも、日本円で10万~15万円だ。
昨今の急激な円安の影響もあるが、中国と日本の人件費はとうとう1対3、もしくは1対2くらいまでに縮まっている。
トヨタ系の部品メーカーの技術者と一緒に、中国企業の視察に訪れたときの話だ。その方が、食い入るようにCADの画面を見ていた。
「どうしました?」と私が声をかけると「むちゃむちゃ速い……」と一言。
マクロが組まれているようで、ハイスピードでCADの画面が切り替わる。クリックのスピードも尋常ではない。ゲームをしているのではないか、と錯覚するほどだ。