設計とは、多種多様なパラメータのトレードオフを行いながら、徐々に絞り込んで、最後にワンナンバーで確定させる仕事だ。往ったり来たり、即ち、すり合わせこそに設計の神髄がある。そのすり合わせすべきタイミングとすべき部品や機能などをある粒度で可視化し、その因果関係を解くことで、構造化され、そして、手戻りが発生しないすり合わせ設計が可能となる。

 顧客が望む、あるいは会社として価値創出につながる技術開発には、時間と人をかけて徹底的にすり合わせを行う。一方、価値につながらない箇所は割り切りを持って簡素化し、メリハリをつける。

 そのようにして、コマツのGPS機能や自動制御のショベルカー、あるいはトヨタのハイブリッドのように、一歩先を行く機能価値を創出し続けていく必要がある。そのためには、モジュール化すべき点とすり合わせすべき点を戦略的に分解し、すり合わせすべき点についてはエース級のノウハウで高速に創意工夫を行い、ライバルが到達し得ない極みへとドンドン突き進んでいくべきだ。

開発力の向上には発想力を鍛える
だけでなく基礎鍛練の繰り返しも大切

 我々がこのようなアドバイスを行うと、顧客から「標準化は我々の課題ではない。我々は価値ある商品づくりをしたい。そのために、開発力を強化したいんだ」と言われることもある。これに対して、私が常々話していることがある。

 かのアイシュタインは、「全ての発明は組み合わせだ」という名言を残している。この言葉は無から有が突然湧き出るのではなく、膨大な基礎知識が複雑に絡み合うことで発明は生まれるということであり、個人差はあるだろうが、膨大な知識のインプットの組み合わせ掛け算の訓練をすれば、発明の可能性が誰にでもあることを示唆している。またエジソンも、「天才とは1%のひらめきと99%の努力である」と言った。

 偉人の言葉を引き合いに出さずとも、我々の身の周りにもこうした例はいくつもある。たとえば、弊社にNECの航空宇宙部門にて、人工衛星の開発に関わっていた技術者がいる。彼はよくこう話してくれる。

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超高速すり合わせの一端は基礎技術のすり合わせ

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