業務と情報の流れを可視化し
共有できる状態にする

 業務改善・改革の基本的なスタンスは、「改善活動の基盤をつくりながら気づきを起こし、改善のための着眼を育成する」ことにある。そのために最も重要なのが、「業務プロセスの可視化」である。つまり仕事の状態を目で見て分かる状態にして、次に改善力を身につけ、実益(ムダとり改善)を上げながら組織を活性化していくアプローチを構築する手法である。

「業務プロセスの可視化」法は、「人についている仕事」をオープン化(把握)して分析や改善を行い、「仕事を人につける」ことを目的としている。
 仕事、つまり業務を進める上で、属人化している、という事実である。実は、皆が同じような業務をこなしているように見えて、個々の業務についての情報やノウハウは共有されていない。「仕事に人がついている」のではなく、「人に仕事がついている」のである。だからこそ、仕事がブラックボックスになり、ムダがあっても周りの人は気がつかないという状態といえる。

「業務プロセスの可視化」の2つめの大きな目的は、ホワイトカラー業務の「効率性、有効性、質」を高めることだ。人に視点を置き、「管理者のマネジメント力」や「担当者のスキル力」を高め、競争優位な仕組みを構築して経営の意思決定のスピード化と生産性向上をめざす。

 つまり、管理における「人・モノ・カネ」の3つについて、その質・コスト・タイミング(QCD)の能率や効率を高めていくのである。

 業務を可視化するために次の3ステップ+電子マニュアル化している。

  文字で表す=業務の働きを業務機能で体系化している。
  時間で表す=業務を「どれだけかかる」のかを時間で数値化する。
  図で表す=業務を3図化(S・B・Mチャート化)する。
マニュアルで表す=業務を管理状態にする。電子マニュアル化する。

 これらの方法で共通しているのは、業務を「分解して小さくしていく」ことである。どのような作業が積み重なることで1つの業務ができあがるのか。その業務と作業の基になる「単位」を見極めることにより、「単位業務と単位作業」という業務の原価値が完成される。

 これによって、<1>業務の役割、分担のあいまいな部分が見えるので改善点や目標が明確になり、<2>業務の価値を表す数値(時間化)によって「ムダとは何か」という価値の判断材料ができて改善が進み、<3>業務の電子マニュアル化ができて、いつ、どこで、何を、誰が、どのように行っているかがわかるので、幅広い実務訓練教材になり幅広い育成にも寄与する。

 つまり、コスト改善とスキル+この3つの活動から専門性の育成が同時に実現できる体制が整うのである。