改善の原動力となる
HIT技法の3つのポイント

 これまで述べたような一連の革新運動による「HIT.s System」(通称・HIT技法)と呼ぶ業務プロセス可視化法とチャート作成システム化法は、組織三者(経営者層、管理者、担当者)全員が参加して業務を総点検でき、同一目線で同一目標に向かって活動できるものである。HIT技法は、当社が独自に開発して特許を取得している手法「Human Resource & Intelligence Technology」の略である。

 HIT技法には大きく3つのポイントがある。これらは可視化「3点セット」として次の段階の改善活動への推進力になる基盤を持っている。

<1> 業務の体系表づくり
 HIT技法では、仕事を4段階に区分けして1次業務から4次業務までを規定する。そして4次業務を「原単位」としている。これは現場の個々の担当者が行うもので「S(ストレート)チャート」と呼ばれるチャートで表現する。その上で、原単位を基に業務体系を構成していく。
 さらにSチャートをベースに、管理者は「B(ブロック)チャート」と「M(マネジメント)チャート」を作成し、経営者と共に業務情報を活用する。こうして可視化された業務全体を、担当者から経営者まで一気通貫で共有できるようになる。

<2> 数値化(時間定量化)
 業務の価値を測定する指標は、いろいろあるが、残念ながらいずれもアバウトで真の価値を測定できてはいない。その点、HIT技法は、2つの方法を備えている。当社のノウハウとなっている「記録シート法」と、チャンピオン時間(最速作業時間)を表す「申告法」だ。これらの方法の特徴は、誰にでも容易にでき、それでいて精度が高く、効果的に活用できる点にある。

<3> 業務管理マニュアル(電子マニュアル)化
 HIT技法では、仕事をする上での必要な業務情報が入っている状態で、可視化されるので、「管理点」が明確になる。管理点とは、処理ポイントを示した文書化の手法、チャート化によるプロセス化(手順化)、不具合を予防する管理ポイント、不具合をクリアするための点検ポイント、ランクを表すA・B・C、処理時間、役割や分担の提示などである。
 この電子マニュアル化により、ムダの排除が加速され、負荷の偏りやスキルの専門性を向上する多能化といった具体的なコスト削減策も促進される。

 業務プロセスの可視化法が、「最少人数で最強組織をつくる」ことにつながっていくかを、次回以降も人材育成やマネジメントなどの経営課題をテーマにしながら解説を加えていこう。