SNS利用に不可欠な
企業ポリシーの策定

 社内・社外のコミュニケーションツールとしてSNSの利用が広がる中、社員の不用意な発言や仕事の不満などの書き込みが引き金となり、炎上につながることもある。

 こうしたパターンの炎上を防ぐには「SNSの利用に関する企業の方針を決め、社内で徹底させるべき。情報発信する際にも、私人と組織人を明確に分け、公私混同しないことです」と牧野氏は助言する。

 例えば、個人で利用するSNSでは具体的な勤務先や仕事の内容などの記載は極力控える。また、勤務時間中の書き込みは厳禁。外部から組織としての発信と見なされる恐れがある。

 そして、内部告発で炎上することがある労務問題など、組織に関わる発言は広報などの部門が代表して行い、企業の立場を明確にする必要があるという。

 SNS利用のポリシー策定について、牧野氏は「外資系企業に比べ日本の企業はWebリスクに対する認識がまだ足りないためか、ポリシー策定が遅れています」と指摘する。炎上などの問題発生時に原因を究明するためにも、公私を明確に分けるポリシー策定が急務になっているのだ。

炎上対策に必要な
透明性とルールの徹底

 企業がネット上で炎上の被害を受けないために、どうWebリスクをコントロールすればいいのだろうか。牧野氏は「大きく分けて二つの対策が必要です」と話す。

 一つ目は、社外に向けた透明性の確保。企業が炎上の元となりそうな事象の事実関係を明らかにし、外部から見てもオープンで分かりやすい組織にすることだ。二つ目は、組織内のルールを明確化し、徹底すること。企業の機密情報やSNSの取り扱い方など、社員が守るべきルールを徹底することで、炎上につながるような行為を防ぐことができるという。

 そして、風評被害や誹謗中傷対策への取り組みを通じて炎上を防ぐとともに、「従業員の不満に耳を傾ける風通しのいい組織体制になっているか、顧客の声を生かした製品作りを行っているかなど、ネット上の意見を反省材料にすることも重要です」と牧野氏は助言する。

 こうして見てくると、炎上を未然に防ぐ対策というのは、実は、顧客や従業員の満足度を高め、企業力を強化することと背中合わせなのである。ネットという便利なツールを味方に付けるためにも、企業の積極的な取り組みが求められている。