長期投資とは
買ったら保有を続けること?

単に保有しっ放しということではなく、株価が低いときに買って、高くなったら売ることを繰り返すリズムが長期投資で一番大事なポイント。

 株価が上がってくると、上昇に釣られて株を買う「にわか応援団」がたくさん出現するので、応援を一時的ににわか応援団に任せて売って構わない。そして値下がりしてきたら当初の資金に利益を加えて再び買うことをリズムよく繰り返す。そうすることで再現性が生まれ、複利効果も期待できる。

 応援したい企業の株価が上がり続けているときは、焦らずに下がるのを待っていればいい。上昇に乗ってもうけようなどと考えてはいけない。

40代、50代から
長期投資を始めたのでは遅い?

若いうちから長期投資法を学べればより良いが、40代以降でも遅いということはない。現役世代でいられる時間が少なくても、投資に使う余裕資金は多いはず。

 ただ現役世代のうちに長期投資を学んでほしいとは思う。給料という定期収入があるうちは損失を被っても、その日の生活に困ることはないし再び資金をためて挑戦することができるが、引退世代では慎重にならざるを得ない。だからこそ早い段階から長期投資に慣れてもらい、自分年金づくりを本格化させたい。

 長期投資が身に付いていれば退職金の運用も怖くなくなる。

応援したい企業は
いくつあってもいい?

いくつあってもいいが、余裕資金には限りがあるので、最初は多くても5銘柄程度で。タイミングよく売り買いすれば再投資効果も手伝って資金が大きく殖える。それから銘柄を増やせばいい。では応援したい企業の情報をどのように集めればいいのか。それには消費者である私たち生活者こそが情報の最先端にいることを忘れないでほしい。この会社の製品はすごく良くなった。あるいは質が落ちたから買うのをやめた。そんな消費者の感覚がその後に業績となって表れる。消費者の感覚を敏感にすくい上げることが長期投資候補銘柄の判断につながる。また企業のHPや報道、雑誌や書籍から企業が何をしているのかを知ることも大切。

長期投資には男性と女性
どちらが向く?

男女の区別ではなく「この企業が好きだから応援したい」と心で判断できる人が向く。一般論で言えば頭で考えて格好をつけたがる男性よりも、感覚的に行動できる女性の方が早く長期投資が身に付く。「好きな製品を造っている企業だから買いたい」でもいい。

 さわかみファンドの実例だが、企業姿勢が良いA社を買いたかったが株価が高いため当初ファンドのポートフォリオの順位は10番目程度だった。ところが株価が暴落して買えるだけ買ったら、順位が1位に繰り上がっていた。1位にしようと思って買ったのではなく、みんなが売っているときに安く買っただけだ。長期投資とはそういうものだ。

澤上さんが今、
応援したい業界はどこ?

業界ではなく経営を見ているね。例えば家電業界。ほとんどの企業はボロボロだけど、新しい経営に挑戦している企業も出始めている。そんな企業だったら応援したいと思う。ただし経営といっても経営者自身を見るわけではない。投資家と経営者が酒を酌み交わしながら何時間でも語り合える場が持てるのなら、喜んで会いたいと思うよ。でも現実にはあり得ない。5分、10分の面会では経営者の本質を見抜くことはできない。

 でも不安はないよ。私たち長期投資家は、経営によってもたらされたビジネス現場を見ることができる。何が消費者に支持されているのかという最先端の情報を大切にしたい。