株の値動きと同様、住宅市場も短期間で状況が目まぐるしく変わっていく。今、何が売れて、どんな動きが起きているのだろうか。住宅評論家・櫻井幸雄氏に五つのキーワードを挙げてもらった。

Key Word 1
増税の踊り場状態「消費税」

住宅評論家
櫻井幸雄
(さくらい・ゆきお)
毎年、200棟以上のマンションや一戸建てを探訪。実際に歩いて得た情報を基に、親しみやすい評論活動を展開している。『知らなきゃ損する!「21世紀マンション」の新常識』(講談社)、『妻と夫のマンション学~50歳からの賢い購入術』(週刊住宅新聞社)ほか著書多数。

 消費税が8%に上がって、そろそろ3ヵ月。住宅の売れ行きに影響はあるのだろうか。

「マンションには消費税アップ前の駆け込み購入は起きず、消費税が上がった4月以降の反動も起きていません。住宅の場合、消費税が掛かるのは建物部分だけ。その意味で消費税増税の影響が大きい注文住宅は、昨年の夏前から駆け込みが起こり、未完成物件の特例の期限である昨年9月末までにそれも終了しました。現在は駆け込み分の建物もほぼ竣工し、通常に戻ったところです」と、櫻井幸雄氏。

 気を付けたいのは、今回の消費税増税は「2段階」という点だ。本当にもう一度上げるかどうかは今後、議論を深めて判断されるが、予定通りなら2015年10月には10%になる。

「4000万円の注文住宅を建てるとして、これまでは消費税5%で200万円。今は8%で320万円。1年3ヵ月後には10%で400万円。この差は大きい。さらに現在は8%への移行対策として、住宅ローン減税が拡充されていますが、こちらは10%になったときも据え置きのまま。そう考えると今、早めに動き始めた方が有利かもしれません」(櫻井氏)

 今年4月の消費税増税に向けた注文住宅の駆け込みは、昨年の夏~秋に起きたわけで、次の消費税増税への備えが始まってもおかしくない。今は増税の踊り場状態にあるのだ。

Key Word 2
夫婦ダブル減税も「ローン減税」

 住宅取得を支援する住宅ローン減税は、年末のローン残高の1%が10年間、所得税から控除されるもの(所得税が控除額より少ない場合は住民税からも控除される)。恩恵をより多く受けるのは、所得税の納税額とローン金額の双方が大きい人だ。

「年収700万円以上なら、消費税が3%増えたことより、ローン減税拡充のメリットのほうが大きいといわれます。さらに、共有名義にすればそれぞれがローン控除を受けられるので、より有利になります」(櫻井氏)