冒頭の「注意事項シール」は、とくに注意が必要な薬を飲んでいる患者の「おくすり手帳」の表紙に特徴的なシールを貼って注意喚起するもので、これも薬剤師たちが考え出したアイデアだ。ビスホスホネート系薬剤のほか、血液をサラサラにする抗凝固剤を服用中の患者、薬物アレルギーのある患者などが一目で分かるシールがあり、投薬事故から患者を守るのに一役買っている。
このように、「おくすり手帳」は病院や歯科医院、リハビリ施設など、さまざまな医療機関との媒介として、万一の事故を防ぐ重要なアイテムだ。だからこそ、薬局では手帳を持つことを患者にすすめ、その有用性を啓蒙しているのだ。
だが、残念なことに、「おくすり手帳」の重要性を理解せず、たんに点数稼ぎのために手帳を出しているのではないかと疑いたくなる薬局もある。
「おくすり手帳」の料金は
2014年改定で2段階に見直された
病院や薬局で無料のサービスとして始まった「おくすり手帳」が、調剤報酬がつく国の制度になったのは2000年。薬剤師による薬の相互作用チェックや医療費削減効果などが期待され、この年の診療報酬改定で手帳による情報提供に対する評価として「薬剤情報提供料」が新設された。
このときは希望する患者にのみ算定できる料金で、薬局は「おくすり手帳」に薬剤情報を記入した場合に、処方せんの受け付け1回につき150円の報酬を得られることになった(算定できるのは月4回まで)。
その後、微修正が加えられたが、大きな変更があったのは東日本大震災後の2012年の改定だ。
東日本大震災では地震や津波で深刻な被害を受け、カルテや調剤履歴が喪失した病院や薬局も多かったが、「おくすり手帳」を持っていた患者は、避難先でもスムーズに診療や投薬ができた事例が数多く報告されたのだ。
そこで、それまで希望者に情報提供するという形をとっていた「おくすり手帳」を、すべての患者に適用することに変更。薬剤情報提供料を廃止して、患者の服用履歴を記録・指導する「薬剤服用歴管理指導料」に一本化することになった。



