4月から医療費が改定される。
日本の医療費は全国一律の公定価格だが、2年に1回、その時々で必要な医療体制、物価や賃金水準などを考慮しながら決められる。
今年は、その改定の年に当たっている。消費税率の引き上げもあり、それに伴う措置として医療機関にかかるときの基本料金である初・再診料、入院基本料などは値上げされる。
一方、医療の効率化を図るために、反対に引き下げられるものもある。そのひとつが調剤薬局での「おくすり手帳」の扱いだ。患者が、おくすり手帳をもつかもたないかによって、医療費に若干の違いが出るようになるため、少しでも節約したい人は要チェックだ。
おくすり手帳を持たないと
1回20円の節約になるが…
おくすり手帳は、医療機関で処方された薬の情報を記録し、服用履歴を管理するために作られた手のひらサイズの手帳だ。もともと、一部の医療機関や調剤薬局で始まったサービスだったが、薬の飲み合わせチェックなどの効果が期待されて2000年から国の制度になった。
薬を調剤してもらうときには、薬代のほかに、調剤技術料、薬学管理料といった薬局への報酬がかかる。
おくすり手帳に情報を書き込むことで薬局が得られる報酬は、「薬剤服用管理指導料」に含まれており、現在は410円。たとえば、70歳未満の人は3割の130円を自己負担する。
調剤した日、薬の名称、用法、用量、服用時に注意することなどを手帳に記載することが、報酬を得るための条件だ。
おくすり手帳への情報提供のほか、薬局が薬剤服用歴管理指導料を得るためには、「患者が飲み残した薬の数の確認」「医師が処方した薬にジェネリックがあるかどうかの情報提供」をすることも条件で、3つが揃ってはじめて410円を算定できることになる。
だが、実際には、おくすり手帳を持っていない患者もいて、薬局で薬剤名が書かれたシールを渡しても手帳に貼られず、意味をなしていないケースもある。
そこで、4月からは、おくすり手帳を必要としない患者の薬剤服用歴管理指導料は、1回あたり340円に引き下げられる。70歳未満の人の自己負担額は110円なので、現在よりも20円安くなる。