経費精算業務のIT化で
コストは7割強も削減

 そこで中村氏は、経費精算業務のIT化を決意する。そして試行錯誤の末に開発したのが、現在ラクスがクラウドサービスとして提供している経費精算システム『楽楽精算』だ。

『楽楽精算』の特長は、従来多くの時間と手作業を要していた経費精算業務が、ITによって大幅に省力化できる点にある。

「社員が交通費を申請する際には、『楽楽精算』に内蔵された乗換案内ソフトで経路を選択するだけで運賃が自動入力されます。またSuicaやPASMOなどのICカードの利用履歴を読み込む機能もあるので、交通費の申請にかかっていた時間を大幅に短縮できます」

 スマートフォンからの操作も可能なため、出先からでも経費の申請や承認ができる。外出や出張が多い上司でも、スマホやモバイル端末を持ち歩けば、承認が滞ることはない。

 かくして、社員や上司が単純作業に縛られることなく、営業や現場回りにより多くの時間を割けるようになるわけだ。「『楽楽精算』を利用すれば、経理スタッフの業務負担も大幅に軽減されます。定期区間の控除や仕訳、会計ソフトへの手入力といった作業がすべて自動化されるからです」と中村氏。

 ラクスでは、社員(申請者)、上司(承認者)、経理スタッフそれぞれの業務負担が軽減された結果、年間575万円かかっていた経費精算業務コストが161万円に、実に7割以上ものコスト削減に成功した。