目標達成が危ういとき注力すべきは?
マネジャーには具体的な指示が求められる。

――現在、寺本さんはマネジャーとして営業チームを率いています。マネジャーの仕事の内容と、寺本流の部下へのサポートを教えてください。

 マネジャーになったのは2014年2月で、12人の部下がいます。販売するサービスは昇進前と同じですが、対象企業の規模が違います。以前は従業員16人~99人の企業でしたが、現在は15人以下の企業ですので、商談規模がぐっと小さくなりました。ですので、現在は電話とWeb 会議で売り切るスタイルです。基本的に、顧客訪問はありません。かなり先進的な営業モデルではないかと思っています。

 当社に入社したとき、上司から「営業のやることは2つだ」と言われました。1つは顧客の話を聞いたり提案したりする活動、もう1つは得た情報でSalesforce を更新すること。「Salesforce にアップデートすることによって、周囲から積極的な支援を受けることができる。自分のビジネスのメリットになるのだよ」とも言われました。同じようなことを私も部下たちに伝えています。

 Salesforce は常に最新の情報を共有できるので、タイミングを逃がさずに適切なアドバイスができます。例えば、見逃しがちなリスクもピンポイントでチェックを入れることができるので、月末近くになって目標達成が微妙なときは、「ここで、こういう風にやったら、どう?」という具体的な指示を出すと、部下たちは即座に理解して行動します。

 実は、Salesforce 上で共有されている先輩のコメントを読んで目から鱗が落ちる思いをしたことがあります。その先輩は「月末まであと3日しかありません。数字が足りないとき、どこに注力しますか」と問いかけた上で、こんな風に説明していました。

 商談の規模や進捗のフェーズはさまざまです。フェーズが進んでいる案件のクロージングを急ぐのは当然ですが、それ以外にどこを狙うべきか。大規模案件は時間がかかるので、来月送りにします。ターゲットは中期フェーズの中小規模案件。キャンペーンなどを絡めて一押し、二押しすることで、短期間での受注が期待できる。以上が先輩のコメントで、今も参考にしています。

――「あと3日しかないぞ。全力でやれ」と叫ぶだけでは、部下はどこに時間を使えばいいのかわかりません。マネジャーの指示が具体的だと、部下としても助かりますね。

 その通りです。「とにかくやれ」では、部下は目の前にあるものを手当たり次第に片付けようとするでしょう。その結果、すべてが中途半端になってしまう。明確な指示出しは非常に重要です。ただ、そのためには客観的にフェーズ分けされた商談情報、常に最新の情報がマネジャーの手元になければなりません。ときどきチーム目標の達成が危うくなるときがありますが、Salesforce 上の情報を駆使して乗り切っています。

 また、優秀な営業担当者や隣のチームのマネジャーなどの行動や発言は、今でもこまめにチェックしています。そして、「なるほど」とか「そうきたか」などと思いながら、自分のチームのマネジメントに生かしています。

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