等価交換方式と建替え
円滑化法を利用する違いは?

 ここで少し、専門用語を解説しておこう。

還元率」とは、今の住戸と、建て替えた後の住戸の専有面積の割合。100%であれば今の住戸と同じ専有面積を、無償(持ち出しなし)で取得できる。

 還元率が低くなるのは、容積率に余剰がなく、今と同等か、それ以下の面積しか取れないケースもあるからだ。例えばそのマンションが建った後、都市計画などが変わって同じ面積では建てられなくなっているケースも少なくない。

 一方、郊外の古い団地では、容積率に余剰があるが、やみくもに大きな建物に建て替えても、売却が難しいケースもある。山田氏が指摘する「市場性」の問題である。「売れる」立地でなければ、事業は成り立たない。

等価交換」とはこれまで建替えの主流だった事業方式で、区分所有者は土地(または敷地利用権)を出し、デベロッパーは建設費を出して建てる。建て替わったら区分所有者はデベロッパーから土地と建物の再譲渡を受ける。結果的に、両者が出資額に応じて土地と建物を等価で交換することになる。この場合、事業主体はデベロッパーになる。

 最近増えているのはマンション建替え円滑化法を用いて進める方式だ。

 この事業方式には、マンション建替組合をつくって進める組合施行方式(その流れが右の図)、個人施行者に任せる個人施行方式などがある。

 等価交換との違いは、一歩ずつ合意を図りながら「決議」を経て事業を進めていく点にある。