では、TGVと新幹線の大きな差異とはなんだろか。それは、TGVは在来線直通が前提であることに対して、新幹線は専用線を前提としている点だ。専用線には多くのメリットがある。新幹線しか走らないので高密度ダイヤが可能であり、踏切も不要なので安全性が高い。しかし、欠点もある。建設費が高いという点だ。

 2010年、ベトナムの国会にて決定しかけていた新幹線建設が、反対多数で否決された。理由は、ベトナムのGDPの6割に相当する莫大な建設費用だ。翌年、再度国会の審議にかけられたが、結論は変わらず、在来線を整備した平均時速200kmの準高速鉄道が採用されることとなった。

 アメリカにも数々の高速鉄道計画がある。新幹線有利と度々報道されながらも、コストがネックとなり議会の承認が下りない。そこでアメリカ側は、建設費用低減のために在来線直通方式による新幹線導入を打診してきた。実は、アメリカの主要路線の車幅は新幹線と同じなので、実現性が高いと判断したのだ。だが、ここでも専用線の弊害が生まれた。

 万が一を考えて、時速200kmで大型トラックと衝突しても乗客が安全であることを、アメリカ側は仕様として提示してきたのだ。新幹線は専用線かつ大半が高架線を走っているので、大型の衝突物を想定していない。軽量化により先頭車両は鋼板1枚、中は空洞だ。もちろん、衝突時には凹んで力を吸収する設計思想であるが、200km/hでの大型トラックとの衝突に際して、乗客に影響が出ない保証はない。

在来線直通方式における
高速運行への挑戦が急務に

 また、日本にも山形・秋田新幹線など在来線直通方式は存在するが、在来線区間では130km/h走行が前提だ。TGVを始め海外の高速鉄道は160km/hが一般的になっている。高速鉄道と言うには心もとない。

 新幹線は専用線だからこそ高いパフォーマンスを発揮し得るのだが、在来線直通方式では見劣りしてしまう。だが、過去のベトナムやアメリカのケースも考え、建設費用を抑えた在来線直通方式における高速運行への挑戦と、そのノウハウ構築が急務と考える。専用線方式と在来線直通方針の両仕様で、競争優位性を持つことが大切だ。

 たとえば、北陸新幹線は金沢~敦賀間は認可が下りているが、敦賀~大阪は未承認だ。そこで、敦賀~大阪間を在来線直通としてはどうだろうか。湖西線、東海道線といずれも本数が多い在来線であるため、山形・秋田新幹線とは勝手が違うが、その難易度が故に、日本の鉄道関係企業の技術や運行ノウハウが蓄積され、世界No.1に近づくのではないだろうか。

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ずっと変わらない新幹線の規格。営業最高速度350kmに挑戦せよ

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