新幹線が世界一になるために
越えるべき壁(2)
「営業最高速度350km/hへの挑戦」
第二の「越えるべき壁」は、営業最高速度350km/hへの挑戦だ。日本の新幹線の規格は、1960年代着工の山陽新幹線から変わっていない。実に50年前の規格のまま、北陸、北海道新幹線は計画が立てられている。この弊害に触れたい。
新幹線の最高速度は、車両性能と線路規格などのすり合わせで決まってくる。線路のカーブがきつければ、当然速度は上げにくい。日本のような国土環境では、必然的にカーブが多くなる。要は、車両性能を劇的に上げても、曲がりくねった線路ならば、その実力を示すことが難しくなるのだ。
カーブの「最小曲線半径」は各国で様々だ。東海道新幹線は2500mだ。より高速を意識した山陽新幹線では4000mに改訂され、以後、東北新幹線をはじめ全ての新幹線が4000mとなった。
一方、ライバルのTGVを見てみよう。最初に開通したパリ南東線(パリ~リヨン)では、最小曲線半径が4000mと日本と同幅だが、その後開通した北ヨーロッパ・東ヨーロッパ各線は6000mに広げられ、大西洋線や地中海線に至っては6250mになっている。
筆者には不思議でならない。日本こそ、建設の度に都度ベストにこだわって、個別仕様になってしまうはずだと思われるが、こと新幹線の線路規格に関しては徹底した標準化が守られている。TGVは速度アップのために、規格改訂を繰り返し、カーブの半径を緩めている。明らかに、世界最高速を商業的に狙いに行っている。
「最小曲線半径」以外で、高速に関して重要なのは対向車両の幅だ。列車は走行時、先頭車両付近では横に広がるように列車風が発生する。逆に最後部では、吸い寄せられるような風が発生する。つまり、すれ違う瞬間には互いを押し合うような力が加わり、最後には吸い寄せあう力が発生する。ややもすると、脱線事故につながりかねない。
線路と線路の幅に該当する「軌道中心間隔」は、東海道新幹線が4200mm、山陽新幹線以降の全新幹線が4300mmだ。ライバルのTGVは4200mm~4800mmだ。日本の方が同じか若干短い。だが、ここで重要なのは軌道中心間隔ではなく、走行時の車両と車両の距離だ。



