2004年に有価証券報告書の虚偽記載などが発覚し上場廃止となった西武鉄道だが、西武ホールディングスとして再上場を果たした。後藤高志社長に、上場までの経緯を振り返ってもらった。
――みずほコーポレートから転じて特別顧問に就任した2005年から上場まで9年。感想はいかがでしょうか。
西武ホールディングスにとって上場は最優先課題でした。
今年4月に上場した後、04年近辺の新聞や雑誌等を読み返してみたのですが、当時の社会からの批判は非常に大きなものでしたね。
株価も急落し、引用不安も進みました。就任した際には、社員もこれから西武はどうなってしまうんだろうかと、動揺し不安を感じていることがわかりました。
そして、仮に当時、大きな鉄道事故が起これば、もう西武はおしまいだとも感じました。そのためにも、社員には落ち着いてもらい、モチベーションアップを上げてもらおうと思ったのです。
当時の記者会見で「朝の来ない夜はない」と強調したのは、外部に対してだけでなく、グールプ内と自分自身に対してのメッセージでもあったわけです。
――それが今や5期連続で増益を続け、14年3月期の売上高は4700億円、経常利益は380億円と過去最高益も計上しました。今期もそれを上回る予想です。具体的には何をしてきたのでしょうか。
就任当初は「選択と集中」という表現では甘いと感じるほど、事業を一気に縮小させました。国内外に160の事業がありましたが、最初の2年間で4分の1にあたる40の事業を売却、閉鎖しました。これはかなり苦しい決断でした。