ユーザーのセルフサービスに
かかる時間を人工知能で短縮

図2 顧客サポートにかかるプラットフォームの課題解決
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 シングルプラットフォームを構築するためには、オラクルのクラウドソリューション「Oracle Service Cloud」(Oracle RightNow Cloud Service)を活用した。「2012年当時、FAQから、メール対応、アンケート、レポートまで、ワンシステムでカバーできるソリューションはOracle Service Cloudだけだった」(市川氏)からだ(図2)。

 CS本部は、Webセルフサービスでの自己解決能力向上にもこだわった。

「ユーザーが自分の問題に対する答えを短時間で探すことができるか、さまざまなテストをしました。Oracle Service Cloudは、問い合わせ内容を人工知能で分析し、最適な回答を自動提示する機能があるため、社内テストでも優れた成績をあげたのです」と市川氏。

 ユーザーの検索閲覧履歴を分析して、最も多く見られているヘルプページを自動的に前面へ表示する機能も、ユーザーの検索時間短縮に非常に役立った。これは例えば、台風が近づいて交通機関の運行状況を調べるユーザーが増えると、関連するページが「自動的に」前面に表示されて、ユーザーの手間を減らすのと同じ仕組みである。

 また、携帯電話はもちろん、スマートデバイスのインターフェースも充実しており、一つの回答を作成するだけで多様なデバイスのユーザーへ一括対応できる点も、重視したポイントだった。

一次回答解決率が、
88%へと大幅向上

 PC、スマートデバイス、携帯電話経由のメール、Web、チャットなど、多様なチャネルからの問い合わせを一元管理し、すべてのチャネルに対して一貫した顧客対応ができるようになった成果は大きい。

ヤフー
システム統括本部 CS本部
エンジニアリング部 部長
田中 直樹氏

「シングルプラットフォーム上で社内コミュニケーションが一元化されたことが、ユーザーへの回答のレベルアップにつながっています」と、システム統括本部CS本部エンジニアリング部部長の田中直樹氏。これを裏づけるのが、対応が1回で済む一次回答解決率の変化だ。従来、70~75%であったものが、システム再構築後は88%にアップした。

「スタッフ人数を増やすなどのコスト増を伴うことなく、ユーザーの課題を解決する力を向上させることができました」と市川氏は評価する。

 Oracle Service Cloudがクラウドサービスであることも、大きな導入効果をもたらした。従来使っていた複数システムから本番移行までにかかった期間は、わずか6ヵ月。計画どおり、2013年3月に使い始めることができた。その後、後述するチャット機能を追加導入したが、こちらは1ヵ月半で導入完了できた。システム設計、サイジング、ハードウエア調達などの時間を必要としないクラウドサービスだからこその快挙である。

「システムを一本化したことと、社内で個別に行っていたバージョンアップ/アップデート作業が不要になったことで、運用コストが40%削減できました。浮いた分は他の新規開発に投資しています。クラウドサービスのコスト削減効果は大きい」と田中氏は言う。


 ●記事内で紹介された「Oracle Service Cloud(Oracle RightNow Cloud Service)」について、詳しくはこちら