材料はセミの他に「オリーブ油数滴、塩一つまみ、玉ねぎ少々、それで全部である」という。調理法はフライと書いているが、いわゆる揚げ物ではなく(目玉焼きをフライドエッグと呼ぶように)単純に焼いたと思われる。ちょっとエビのような味がしたそうだが、一緒に食べるよう求められた家人も大変だっただろう。
近年、虫を食べることは世界的な流行だ。世界ランキングで何度も1位を獲得しているコペンハーゲンのレストラン「Noma」ではアリの料理をはじめ、バッタで作った醤油まで開発している。国連食糧農業機関(FAO)が虫を食べることを勧める報告書を作成したことはニュースにもなった。虫は少ない餌で大きくなる(タンパク質変換効率というらしい)割りのいい生き物で、何より良質な脂肪、高タンパクという体にいい食べ物だ。長生きのために虫を食べる時代がすぐそこまで来ているのかもしれない。
ところで僕が子どもの頃、世界から虫がいなくなったら人類は滅びると教えられた。あらゆるものを食べ尽くした人間はついにパンドラの箱に手を付けようとしているようにも見えるのは考え過ぎだろうか?
※参考文献/『完訳 ファーブル昆虫記 5』山田吉彦・林達夫訳




