住宅取得を考えるとき、「これまで賃貸で支払っていた家賃と同程度」を目安に、月々のローンの返済額を考える人が多い。あるいは年収を基に、「この程度まで借りられます」という試算を参考にする人もいるだろう。しかし、本当にそれでいいのだろうか。住宅価格高騰期は、ローンプランニングに慎重さが求められる時期だ。ローンの選択で失敗しないためのポイントはどこにあるのだろうか。

借入可能額に差がある
ローンシミュレーター

ホームローンドクター代表取締役
淡河範明(おごう のりあき)

早稲田大学政経学部卒。日本興業銀行、米国系証券会社を経て、2006年にホームローンドクターを設立。全国の工務店・不動産業者と提携し、住宅購入希望者向けの資金計画、住宅ローン選択のサポートを行う。『ウサギのローン カメのローン』(エクスナレッジ)他著書多数。

 これまで動かしたことのない何千万円ものお金で、一生を左右する住宅という大きな買い物をするとき、たいていの人が「自分は住宅ローンを幾ら借りることができるのか」と思い、ためらう。

 「よく『年収の5倍まで』『年間返済額が年収の25%以内』という目安を耳にしますが、これは当てにはなりません。その範囲内でも借りられないこともありますし、借りられたとしても、返済に苦労するリスクと無縁だとはいいきれません」(淡河範明氏、以下同)

 住宅ローンの借入可能額は、現在の年収から算出される。ここまでは間違っていない。そこで金融機関のウェブサイトにある「住宅ローンシミュレーター」を使って、借入可能額を試算してみた。

 仮に年収500万円でざっくり試算したところ、金融機関により、なんと借入可能額に1000万円以上の差が出てしまった(次ページ)。

「ローンシミュレーターの設定基準は、実は各行バラバラなのです。出てきた数字は、あくまで『その銀行があなたに貸してもよいと判断した額』だと考えてください。決して、あなたの家計に“ベストな額”ではないのです」