仕事と向き合い、生産性が上がる仕掛け
ノンテリは「フレキシビリティ」も実現する。前述の石田専務の言葉どおり、現在の経営はスピード感が重視され、経営方針が変わればオフィスも即応して変わることが求められる。たとえばプロジェクトが立ち上がり、営業部隊の増員が決まった時、固定されたスペースが多いとオフィス全体の改装から手をつけなければならない。
「それではスピードが鈍るし、コストもかかります。これからのオフィスは器を変えずに、経営のスピードに即応する設計が求められます。ノンテリであれば、急な増員を指示されても即時にスペースを確保することができますし、PCや電話などの社内インフラも固定されていないのですぐ体制に対応させることができます」(石田専務)
フレキシブルに対応できることで、社員たちの仕事も停滞せずに済む。仕事に集中し、仕事に向き合いやすい環境が整っていることが効率を生み、生産性を高めることにつながっていく。
会社と向き合い、モチベーションを上げる仕掛け
「ブランディング」はクリエイティブ・オフィスを導入することで対外的に企業自身のブ ランド価値を向上させるというメリットもあるが、「なによりも社員に対するブランディングを高めることが大切」だと、石田専務は言う。
1日のうち3分の1の時間を過ごすオフィスなのだから、「良い企業で働いている」 「ずっとここで働きたい」という満足感を社員に与えてモチベーションを上げることが大事。それによって離職率を下げる効果も期待できる。
ブランディングには、企業の理念や歴史をオフィスに取り入れるという方策があるという。「理念や歴史を表現する方法論は企業様によって異なりますが、『Studio F』ではエントランス(受付)に1950年代のチェアと照明を置いてあります」
赤いチェアは北欧デンマーク家具の老舗フリッツ・ハンセン社の製品で、富士ビジネスが誕生した1950年代に流行したもの。壁はブラウンのタイルが張られ歴史の積み重ねを表現している。社員が顧客を出迎える時、エントランスのデザインに込められた意味を説明することで初対面であっても会話がスムーズに進み、社員自身も自社の歴史を再認識することができる。
またオフィス内に窓側に作られた半個室のミーティングスペースの扉は透明になっており、その間に本物の桜の枝が挟み込まれている。富士ビジネスの前身は1950年8月に設立された「株式会社櫻屋」だったためだ。櫻屋の時代を知っているのは一部の幹部社員のみになってしまったが、今自分たちが働い ている会社には櫻屋のDNAが引き継がれていることを、扉が物語っている。
キャビネットはオフィスとしては珍しい落ち着いた赤色に塗られている。これは富士ビジネスのコーポレートカラーを表している。
会社は声高に「我が社はこうである」といったブランディングを主張することはない。しかし各所に「我が社」を感じさせてくれる場所があり、社員は意識して、あるいは無意識に会社に誇りを持ち、働くモチベーションにつながっている。
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