一元化した情報から課題を抽出、
CREの最有効活用を実現

 では実際にどのようなソリューションが実現するのか、CRE戦略の事例を見てみよう。ホールディングス企業として関係会社十数社を傘下に持つ、大手商業施設運営会社A社の場合である。A社では、「効率的な不動産管理体制の構築」と「CREの全体最適」をミッションとして掲げ、三菱地所リアルは、CRE@Mによる不動産情報の一元管理を提案した。

CRE戦略支援システム「CRE@M」は、クラウドサービスを利用しているため、インターネット環境があればすぐに利用できる。不動産の基本情報&地図や、賃貸借契約情報、ポートフォリオ機能や、不動産関連資料の電子書庫管理などで不動産の一元管理が実現する。さらに、プロジェクト進捗管理をサポートするさまざまな機能を提供、関係者間の情報共有をより容易に確実にするトピックス(掲示板機能)も付加されている。システム利用料は月々のランニングコストのみ、低コストで利用開始できるのも魅力の一つだ

 A社には、店舗や倉庫など本業に活躍するコア資産の他に、社宅・福利厚生施設、賃貸不動産などのノンコア資産があり、その数は数百件に及ぶ。その不動産情報をCRE@Mを使って一元管理し、全体像を把握した上で、CRE戦略のガイドラインとなる中長期計画を策定した。その作業の中で、「(1)未稼働、低利用資産をどのように有効活用し、収益性を高めるか」「(2)コア資産におけるコストをいかに圧縮するか」「(3)事務所機能をいかに集約し移転を実現させるか」という三つの課題が浮き彫りになった。

 三菱地所リアルでは、その各課題に対して、不要資産の売却や賃料の評価、アクションプランの作成など、多様な不動産サービス機能を活用したソリューションを提供。「中でも本社機能の集約移転に関しては、A社の条件に合ったフロアプレートの大きな賃貸オフィス物件を提案し、事務機能の集約による効率化や社内コミュニケーションの強化などに貢献できました。またCRE戦略の取り組みを進めることで、不動産の有効活用に対する経営層の意識向上が図られるメリットも得られました」と泉執行役員は成果を語る。「CRE@M」による一元管理とコンサルティングサービスがバランスよく実行された事例である。

質の高いサービスを
ワンストップで提供

 CRE戦略が注目されるようになった背景には、不動産が信用の源泉からリスク資産へと変化したこと、M&Aや企業統合の活発化で遊休地の発生や拠点重複が起きていることなどが挙げられる。また、減損会計の適用や国際会計基準への移行、いわゆる“物言う株主”から企業価値向上を強く求められるようになった背景もある。

「当社のCRE戦略コンサルティングは、まずお客さまの計画や悩みをじっくり聞くことからスタートします。対象不動産の収益性や立地特性、将来性などを加味しながら、適正価格評価やポテンシャル分析を実施、その結果を基に売却、購入、活用、投資、賃貸借などの中から最適なプランを提案します。各サポートでは経験豊富なプロフェッショナル集団が、質の高いサービスをワンストップで提供。三菱地所リアルをCRE戦略のベストパートナーとしてぜひご活用いただきたい」と語る泉執行役員。

 今後も企業の経営統合やグループ再編は加速することが予想され、それに伴う企業不動産の再編は不可避。CRE戦略の重要性はさらに高まるはずである。