住友不動産が手掛ける新たなランドマーク「東京日本橋タワー」(2015年3月竣工予定)。同タワーの可能性にほれ込んで移転を決めたサイボウズの青野慶久社長に、新オフィスの魅力を聞いた。

maehara地上35階建て(高さ180m)、国内外に利便性のある交通の要所「日本橋」に在り、駅直結の「東京日本橋タワー」。住友不動産のノウハウを結集した最新のスペックを装備、超高層ビルでは希少な免震構造を採用、無停電対応などBCPを強化。同社の新たなフラッグシップとしてその威容を誇る

 遮るものが一切なく端から端まで見渡せる広大なオフィス空間。「東京日本橋タワー」の1フロア約820坪の整形無柱空間を見て、サイボウズ・青野慶久社長は移転を決意したという。

 国内のグループウエア市場ではトップシェアを誇るサイボウズ。クラウドコンピューティングに事業領域を広げ、製品の国際化とグローバル市場への展開を進めている同社にとって、今が攻め時。

 現在のオフィスが手狭になり、次のステージに相応しいオフィスを選ぼうというのが移転のきっかけである。もう一つ、青野社長には「新しいオフィスは、21世紀型企業の新しい働き方のショールームにしたい」という希望があった。

 サイボウズは、ビジネスIT業界では珍しく女性社員比率が4割に及ぶ。育児・介護休暇制度や在宅勤務などを積極的に取り入れ、先進的かつユニークな働き方を導入・実践している企業である。

 ただし、これまではそうした働き方をオープンに見せる、物理的なファシリティ(スペース)がなかったのだ。

日本橋という立地条件
の良さが移転のポイント

サイボウズ
青野慶久代表取締役社長

1971年生まれ。大阪大学工学部卒業後、松下電工(現パナソニック)を経て、97年サイボウズを愛媛県松山市に設立。2005年4月に代表取締役社長に就任

 移転の決め手になったのは、日本橋という立地もあった。日本橋は江戸時代から経済・文化の中心地であり、歴史的な土地柄である一方、コレド室町やマンダリンオリエンタルホテルの開業など、アジアを代表するグローバルな街へと変貌しつつある。

「日本橋は、外資系のビジネスパーソンから、国内大小企業の従業員、観光客やショッピングに訪れる人々まで、歩いている人々が一律ではない多様性にあふれた街です。

 その多様性は、私たちの幅広い顧客層にマッチする。無機質なオフィス街では、やがて社会が見えなくなり、営業の話も面白くなくなり、開発のクリエーティブにも影響します。

 またグローバル展開を目指す企業として“日本”という地名が入る住所はうれしい。ビジネス環境として当社の事業内容に相応しく、一緒に成長していける街だと考えています」。

 また交通アクセスの良さも重要なポイントになった。社員にとっての利便性はもちろん、ショールームとしてアクセスの良さは必須なのだ。「近郊から来られる人は、徒歩圏内の3駅20路線が利用でき、遠方からの人は新幹線で東京駅から徒歩6分、海外からは羽田と成田の両空港からダイレクトアクセス(地下鉄)が可能です。都内のみならず、全国や世界へのアクセスの良さは大きな魅力です」と青野社長は強調する。

 もう一つ、BCPが強化されたタワーであることも、移転の重要な要素になった。「当社が提供するクラウドサービスの顧客は9000社を超え、もはや社会インフラと言っても過言ではなく、クラウドサービスの安全性については妥協できません。その点、高度なセキュリティと非常時での高い安全性を確保しているのは大変心強い」。