(写真:上)室内に柱型が出ない整形無柱空間によって抜群のレイアウト効率を実現。基準階貸室面積は約820坪
(左下)デザインや快適性共に優れたオフィス共用スペース
(右下)東京スカイツリーを望むビル北側の眺望

 同タワーは、超高層オフィスビルでは希少性の高い免震構造を採用し揺れを大きく軽減、中圧ガスや重油を用いた3重のバックアップにより無停電対応を実現し、帰国困難者対策として一時滞在スペースも地下に確保している。

 最大1300人収容可能な大規模なイベントホールや、ミーティングや研修などをサポートする全23室のカンファレンスセンターなどの共用施設も、「イベント好きな会社としては、とてもありがたい」と青野社長は付け加える。

 そもそもサイボウズとは、グループウエアを通じて“いつどこでも仕事ができる環境”を提供している企業であり、日本で最もオフィスを必要としない企業ともいえるのではないか。

「私たちがリアルオフィスを持つ意味とは何か? それをゼロベースから考え直し、新たなコンセプトをつくり出したのです」。サイボウズが考えるリアルオフィスとは、劇場型のオフィス。感情を分かち合うことで生産性を上げられる、多様性に満ちたオフィスである。

「新しいオフィスのコンセプトは“Big Hub for Teamwork!”。国内外に9拠点を構えるサイボウズの東京拠点として、各拠点や外部の人たちが自由に出入りできるスペースを広く取り、レイアウトを固定せずに自在に固まりをつくる。柱の陰で人々が滞留する場所を作らない。そのために、全てが見渡せる広大な空間が必要だったのです」と青野社長。

 現在のオフィスは約650坪。「東京日本橋タワー」に移転後は約1300坪とスペースが倍増し、余裕を持って自在にレイアウトできる。

 目標とするのは、さまざまな国籍や個性を持つ人々が交流し、その刺激の中からイノベーションが生まれる環境だ。多様な人々が集中して最高のパフォーマンスを発揮できるよう、従来のオフィスにない斬新な空間を構築する計画だ。

企業のチャレンジを
全力でバックアップ

「物件探しを通して、住友不動産は私たちのチャレンジに興味を持って応援してくれた。パートナーとしてとても信頼しています」と青野社長は語る。

 今回、住友不動産側の担当である資産開発事業本部の兼松公彦氏は、一昨年夏にサイボウズ主催の異業種交流会で青野社長と出会い、移転を検討しているという話を聞いて「東京日本橋タワー」を薦め、契約に結び付けたという。

osawa日本橋は五街道の起点として、江戸時代から交通や商業の要衝として栄えてきた

「日本橋は青野社長のおっしゃるように、グローバル展開の起点にもなる多様性のある魅力的な街で、“ビッグ・ステップ”を図ろうとするサイボウズには最適だと思い、ご提案しました。日本を代表するIT企業の挑戦と成長をお手伝いできるよう、私たちも全力で応えていきたい」と語る。

 移転予定は2015年7月。
 どのようなオフィスが誕生するのか、心待ちにしているのは社員だけではないだろう。企業のさらなる成長とともに、日本の働き方を変革したいというビジョンを持つサイボウズの挑戦は、この「東京日本橋タワー」から始動する。