立地が資産価値を
大きく左右する

 不動産を使って資産移転を考える場合、「課税評価額を下げる」と同時に、「資産価値を維持できる」ことも重要になる。

「大局的に知っておいてほしいのは、全国的にマンションの価格はジリジリ上がっているが、土地や土地付きの戸建て住宅の価格はジリジリ下がっているという事実です。この差は立地によります。マンションが建つのは都心や駅近の利便性が高い場所が多い。そうした所の不動産は価値が上がり、他は落ちるという二極化が起きているのです」(沖氏)

 日本はすでに人口減少社会となっている。亡くなる高齢者が増えるに伴い、土地の放出が起き、長期的には地価は少しずつ下がり続けると考えられる。

「地方に土地を多く所有する資産家の場合、東京都心のマンションなど価値が落ちにくいと考えられる不動産に、資産を組み替えていく動きが見られます。その際は税務だけでなく不動産取引にも精通している専門家を選んで、一緒に取り組むことが重要になります」(沖氏)

 便利な立地を選ぶことは、毎日を豊かに暮らすことにも結び付く。資産価値の下がらない土地や物件を選ぶためには、実績のあるデベロッパーを選定し、住宅展示場などで建物を確かめたり、さまざまな専門家の意見を取り入れることも大切だ。