跡地を有効活用した
企業誘致に注目集まる

 こうした企業側の動きを後押しし、国内立地を増やすためには、設備投資環境を魅力のあるものに整備することが必要だ。

 従来のように産業団地の整備から始める企業誘致活動では、生産拠点の移転にスピードを求める企業ニーズに対応し切れない。

 そこで近年推進されているのが、未利用工場跡地を企業と自治体が共同開発し、公共産業団地として提供する「企業内産業団地」だ。インフラが整備されているため工場建設までの時間を大幅に短縮でき、空き工場などの活用で初期投資の削減も図れるなどのメリットがあることから、すでに企業が進出しており注目度が高い。

 この他にも、自治体が企業から工場跡地を購入・整備し、誘致活動に活用しているケースや、学校跡地に工場やオフィスを誘致する動きも増えている。企業誘致が成熟期に入った今、地域資本ストックを見直し有効活用する誘致手法は、今後、各地で展開されていくと思われる。

 もちろん、産業・流通・住宅などの各区域や公園、中核施設が整備され、研究開発から一貫した企業活動を可能とする産業団地は企業が進出しやすい。 地方自治体においては、こうした立地環境の整備とともに、進出企業のイノベーションをサポートする、技術力や人材の高度化を図ることが必要だ。併せて、地域産業の競争力の強化や固有の資源を活かしたビジネスの創出など、戦略的な政策を進めていくことも重要となる。